text by 赤様
ポーラ・ラドクリフさんが来日した。
世界的に有名なイギリス人ランナーだ。
東京マラソンのレセプションなどの公式行事に出席するのが目的で、
僕は走るとは思っていなかった。
もう51歳なのだから。
マラソン当日、
ランニング仲間や知りあいのインフルエンサーがたくさん走るので、
僕は沿道に応援に向かった。
その途中、地下鉄に乗っていると、
ある駅で扉が開き、
乗ってきたイギリス人(ユニオンジャックを持っていた)と目が合った。
僕の方に近づき日本語で話しかけてきたので、
いろいろと話しをした。
そのなかで、
「ラドクリフさんが走っている、私は応援している」
とランナーの現在地がわかるアプリを見せながら、
僕に教えてくれた。
彼女が走ることをそのイギリス人から知ったのだった。
おかげで沿道で応援することができた。
感謝感謝である。
帰る途中、
完走したランナーとたくさんすれ違った。
その中のひとりと話しをした。
彼はほとんど日本語が話せなかった。
こちらは仲間が何人かいたので、
みんなでかろうじて英単語をひねり出して会話をした。
彼はオランダ人でひとりで来ていると言う。
完走を労い、彼の喜びを分かち合った。
ランニングをしていると、こういうところで通じ合える。
ランナーで良かったと思える瞬間だ。
今年の大会は海外からインバウンドが17000人も来日した。
参加者の46%にも及んだ。
国際的認知度が上がれば、大会のステイタスも上がる、
という面もある。
でも、沿道にいると、
おとなしい日本人よりも、
海外からの参加者の方がかなり陽気なのがわかる。
応援するはずの僕らが、
彼らに楽しませてもらうことも多かった。
楽しくなければ魅力がないので、
やはり彼らの力は大きいなと思った。
日本人も個々が他人を楽しませるような土壌ができるには、
あとどれくらいかかるだろうか。