text by 赤様
「心に浮かんだものをそのまま描けばいいのよ」
教室に響く先生の声。絵を描く子供たち。ある学校の授業風景。
そのなかのある子供が、クレヨンで画用紙全体を真っ黒に塗った。
一枚では足らず、何枚も何十枚も塗った。
それを見て、先生は疑問を持った。
この子は何かネガティブなことをかかえているのか、と。
他の教師に相談した。
その子の両親や医師、心理カウンセラーにも相談した。
もし、そんな子がいたら、みなさんはどう思いますか?
その話しはまだ続きます。
先生がその黒い画用紙を見ているとき、ふと気付きます。
そして、その何十枚も塗られた画用紙を教室いっぱいに並べていきます。
するとどうでしょう。
なんと、ものすごく大きな鯨の絵が浮かびあがったのです。
これは、実際に放送されたテレビCMです。
事実に基づいているかどうかはわかりませんが、そこが焦点ではありません。
その子は、鯨の大きさを表現したかったのでしょう。
それを、真っ黒に塗ったことを、精神的な異常をきたしていると解釈してしまった先生。
僕らは他人を見るとき、あるいはいろいろな物事を見るとき、
先入観や固定概念でそれらを見ていないでしょうか。
おそらく、このCM作家はそんなことが言いたかったのだと思います。
とある心理学者が言っていました。
「正三角錐(せいさんかくすい=昔あった牛乳パックのような形)を
描いてみろと言われて描けない子いる。
でもそれは、その子が劣っているわけじゃない。
描けないことが才能なんだ。
絵画の世界では、なにも見た通りに描ける必要なんてどこにもない。
人と違ったその人独自の見方、描き方ができれば、それが才能なんだ」と。
いろんな感覚や考え方があるから世の中面白いのだと思います。
もっと柔らかい思考で物事に接すると、
今まで見えなかったことが見えてくるのかもしれませんね。
なる程!
感心しました。