text by 赤様
さあ、オリンピックまでいよいよあと2日! 今日はトリノオリンピックの見どころを紹介します。まず注目選手を何人かピックアップ。
今回出場する日本選手は、30歳を越えたベテラン選手が多いのが特徴です。スピードスケート女子500mの岡崎朋美は34歳。今シーズン2度もワールドカップ(※)の表彰台に登っており調子は上向き。世界レベルの大会に出場するようになった十数年前、ファンクラブが日本よりも先にヨーロッパで出来たという逸話も残っています。
スキージャンプには3人もの30歳越えの選手がいます。岡部孝信は35歳。数度のルール改正に振り回され、長い間世界レベルからは遠ざかっていました。しかし今シーズンは長野五輪以来の復活を果たしワールドカップでは表彰台にもあがりました。今や日本のエース。伊東大貴20歳とともにメダルを狙える存在です。
葛西紀明35歳(写真)も上位進出が期待できるひとり。世界中のジャンプ選手の中でも彼ほど身体能力が高い選手はほとんどいません。それくらいの素質の持ち主。ワールドカップも日本人最多タイの15回優勝していますが、オリンピックの時期にはいつも調子が良くありません。世界最年長ジャンプ選手原田雅彦37歳とともに5度目のオリンピックとなる今回。今度こそ満足できるジャンプをと願うばかりです。
海外の注目選手を探してみましょう。ヤンネ・アホネンはフィンランドのスキージャンプの選手。フィンランドの選手の名前は、日本語の言葉を当てはめたような名前が多いのですが、そんな中でも彼のは秀逸。彼が大阪へ行ったら必ず人気者になるでしょう。しかし名前だけではなく実力も折り紙付き。昨シーズンの世界ランキング1位。シーズンオフにはドラッグレース(飛行機のエンジンを載せた車で400mのタイムを競う)のレーサーでありデザイナーでもある凄い人です。
クワメ・ヌクルマ・アチェアンポンはアフリカのガーナの選手。黒人初のプロのアルペンスキーヤーです。しかし実力は世界レベルとは言えず、オリンピック出場資格になるポイントが基準に達したとの情報はまだ確認できていません。もし出場できれば、最も注目される選手のひとりになること間違いないでしょう。
(この文章を書き終わった後、出場を逃す報が届きました。残念です。でも本番の競技前に前走する選手になる可能性があり、トリノ入りするのだそうです)
選手以外では、ぜひ見て欲しい種目をひとつ。スノーボードクロスという種目で今回初めて五輪種目になりました。山の斜面をスノーボードで滑り降りますが、そのコースはこぶありジャンプ台あり急カーブあり。で、転倒者続出のレースになるでしょう。4人同時にスタートし同じコースを滑るのですが、選手同士での接触も多く迫力満点。レース中たとえ最後尾を滑っていても諦めなければ逆転勝利なんてこともよくあり、手に汗握るレース展開になるので要チェック。
さて、それぞれのワクワク感を抱きつつテレビの前へ。トリノと日本の時差は8時間。眠れない夜がやってきます。用意はいいですか? でも夜更かしはホドホドに。えっ? 僕自身が一番注意すべきだって? おっしゃる通りです・・・。
※「ワールドカップ」とは、ひとシーズンをかけて世界各地を回り、週末ごとに試合を行う大会。スキー、スケート、ジャンプのほか、いろいろな競技で行われている。
ジャンプのルールの中で飛ぶ順番はどうやって決まるのですか?
アルペンは大体分かるのですが同じなのかな?
一つの試合は、「予選」「本戦1回目」「本戦2回目」と3度の試技(飛ぶこと)で構成されます。
予選と本戦1回目は、その年のワードカップランキング下位の選手から。本戦2回目は本戦1回目の上位30人しか試技を行えません。30位から29位、28位という順で、最後に1位が飛びます。
そこまでは、アルペンとほとんど同じだと思います。
だたし、ジャンプ台には着地する場所の長さに限界があります。下位選手のなかに飛びすぎた選手があらわれ、上位選手はもっと飛んでしまうだろうと審判が判断すると、それまでの試技をキャンセルしてスタート地点を麓側にずらします。スピードを出にくくして飛距離を抑えるのが狙いです。
例えば、60人出場の大会で12人飛んだところでキャンセルされると、それまでの12人の記録は白紙にされ、13人目から競技が再開され、60人目が終わった後、最初の12人が改めて競技を行うことがあります。このルールはアルペンとは違いますね。