少年野球の愉快な世界(その1)

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                            text by 赤様

 小学生の頃の話しです。当時野球少年だった僕は、地域の少年野球チームに入っていました。チーム名は「上星川団地」。横浜市保土ヶ谷区にある団地の名がそのままチーム名。特に強いチームではなかったのですが、物凄くまとまりのとれた良いチームでした。僕らが卒業した数年後、数百チーム以上はあると言われる横浜市大会で優勝したと友人から聞きました。さすが!

 僕は当時下級生ということもあり、2軍の試合や練習試合に時々出る程度でしたが、とにかく練習が大嫌い! そんな調子では上手くなるわけがなく、5年生で転校するまでの間レギュラーにはなれませんでした。でも、試合は大好きで、チームを応援することと勝負魂に火がつく上級生を見るのが楽しみでした。

 年に1度、横浜市大会という大きな大会があります。開会式はあの横浜スタジアムの人工芝の上を入場行進! 野球少年にとっては夢のようなことです。甲子園に出たら土を持って帰りたい! そんな思いを抱いている小学生がそのとき考えること。それはユニホームのポケットにハサミとビニール袋を忍ばせ、人工芝を切って持って帰ろうという企み。人工芝は切っても数ミリしか切れず、まるで「あおのり」のようでした。ホント子供の考えることってアホですよね。

 横浜市大会では「大洋ホエールズ」や「めだか」というチームとも試合をしました。「大洋〜」はプロと同じチーム名、同じユニホームで、いったいどんなチームなんだろうと組み合わせが決まってからソワソワしていましたが、始まってしまうと27対3、3回コールド勝ち。相手がかわいそうなくらい打ちまくりました。

 「めだか」はユニホームの胸に平仮名でそのまま「めだか」と書いてあり、もうチーム全員嘗めまくり。負けるわけないよ、がチームみんなの気持ち。しかし試合は大苦戦。幾度とないチャンスも実を結ばず、終盤辛くも3点を取り辛勝。あやうくめだかに食われるところでした。

 市大会以外では、同じ地区のライバルチームが主な対戦相手。「星ヶ丘」、「坂本ジャイアンツ」、「川島イーグルス」、「エコーズ・ジュニア」、「東川島ジャガーズ」・・・。どのチームも実力は拮抗していましたが、「東川島ジャガーズ」だけには、歯がたちませんでした。彼らは上手くてユニホームの着こなしもカッコ良くって、同じ小学生とは思えませんでした。

 少年野球は練習前のランニングの掛け声やその声の勇ましさで、そのチームが強いのか弱いのかがだいたいわかります。試合会場に着くと、練習のはじめにまずランニングをします。その日の対戦相手や、勝ち進むと当たるチームなど、ライバルチームそれぞれが球場の周りで走っています。初対戦のチームだと、そのときが最初の遭遇となり、相手がチラチラ気になります。
 当時最も注目された掛け声が、(Aが声掛け役、Bが他の全員)
A「ファイトーーーーーーーーーッ! ゼッ!」
B「オーッ!」
A「ゼッ!」
B「オーッ!」
A「ゼッ!」
B「オーッ!」
これらのチームはまず、間違いなく手強い相手。ヘタすりゃコールド負けも覚悟しなけりゃならないチーム。
他には、
A「イチッ、 ニイッ、 サンッ、 シイッ」
B「イチ、ニイ、サン、シイ、ニイ、ニイ、サン、シイ」
これは、プロ野球なんかでは良く使う掛け声。でも意外とこれは少数派、だいたい格好を気にするチーム。上手く戦えば恐れる相手ではない。

 じゃぁ、僕らはというと、
A「ファイトッ!」
B「ファイトッ!」
A「ファイトッ!」
B「ファイトッ!」
ってなオーソドックスな掛け声。
しかし、試合前から調子に乗ってふざけてしまうのが悪い癖。
「ファイトッ!」と言ってたのがだんだん変化して、
A「ホワイトッ!」
B「ホワイトッ!」
A「ホワイトッ!」
B「ホワイトッ!」
とみんなでゲラゲラ笑っている。もうアホ丸出し。

 さて、いよいよ試合開始。僕ら控え選手の主な役割は応援です。僕らの地チームが守っている時は、たとえばピッチャーに対してこんな応援をします。
(Aは応援のリーダー的選手、Bはその他全員)
A「ピーーーーッチ」
B「はいるっ! はいるっ!」(ストライクゾーンに入るという意味)
A「ピッチ」
B「はいる!」
A「ピッチ」
B「はいる!」
これが、攻撃している時だと、
A「ピーーーーッチ」
B「ノーコン! ノーコン!」(コントロールが無いという意味)
A「ピッチ」
B「ノーコン!」
A「ピッチ」
B「ノーコン!」
と、相手ピッチャーを罵る応援に。
子供は思ったことを口にする。ホントえげつない。「がんばれベアーズ」みたい。きっと相手チームの監督は、「畜生、このクソガキ・・・」とか思うんじゃないでしょうか。

 しかし、味方ピッチャーの快投で応援する僕らも調子に乗っていると、
「カキーーーーーン」
と大きな当たりを打たれたりします。
すると今まで元気のなかった相手チームが急に沸き返ります。
A「1塁打!」
B「オー!」
A「2塁打!」
B「オー!」
A「3塁まわってホームラン!」
B「オッオーーッ!」
なんていう声。
で、僕らはシュンとなってしまいます。所詮小学生なんです。

以下、その2につづく

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ボクはガキの頃上福岡ファイターズに入っていました。
ゼットのグローブが憧れでした。

今でこそ海人ですが、小学生の頃は少年野球(軟式)に入ってました。その頃は少年野球全盛期でいつかはリトルリーグで投げたいとずっと憧れてましたね。でも小学生の軟弱な体では硬球で肘や肩を壊してしまい退団した友人も多くいて野球は楽しいだけではないことを知りました。
僕の野球歴は小学生で終わりましたが、いまでも多くの友人が草野球やソフトボールを休日に楽しんでいます。団体スポーツもいいなとふと思うこのごろです。

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このブログ記事について

このページは、cforceが2005年12月14日 09:00に書いたブログ記事です。

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