text by 赤様
横浜清陵高校が甲子園に出場した。
普通の公立高校で、失礼ながら特に野球が強いわけではない。
それが21世紀枠で選ばれた。
21世紀枠とは、野球の成績だけでなく、
部活動の特徴なども評価対象になる特別枠だ。
強豪ひしめく都市部では、
私立高校を倒して県大会を勝ち抜くのは至難の業。
だからこそ、そんな高校が勝ちあがるとニュースになり、
ファンが色めき立つ自体になることもある。
このチームも上級生が引退した当初は、
練習試合は全く勝てず、
力がないことを自覚し、やれることを徹底した。
この学校の部活動は、
自治と呼ばれる生徒の自主性で運営される特徴がある。
それが21世紀枠の評価にも繋がったのだが、
自分たちで考え取り組んだことが、
野球のレベル向上や、チームワークにも好影響を及ぼしたことは、
想像できるだろう。
それが秋の大会で実を結び、私立の強豪がひしめく神奈川大会で、
公立高校では唯一のベスト8入りを果たしたのだ。
選考委員会は、
「意識を変えて知恵を使えば、
強豪校がしのぎを削る大都市でも結果を残せるという
ロールモデルになるのではないか」
と期待を込めた。
都市部では強豪の私立高校が甲子園に出るのが当たり前の空気がある。
今回の彼らの活躍に、公立高校の選手たちが大きな希望を持てたなら、
この選考が大いに意味があることだろう。