text by 赤様
箱根駅伝の視聴率が発表された。
往路が29.4%、復路が29.7%だった。
なんと、2006年以降では25%を割ったことがない。
すごいことだ。
この安定した人気はなぜだろうか。
正月だから、見る気もないけどTVがついている、
というケースもあるだろう。
でも、もしそうならば他の番組でもよいはずだ。
ちなみに、
箱根駅伝を卒業した選手が走る元日のニューイヤー駅伝は12.4%。
ドラマ「陸王」が好評で、
最終回が19.9%だったことを考えると、
あまり追い風にはならなかったのかもしれない。
という事は、
やはり箱根には箱根の面白さがあるのだろう。
その理由を事あるごとに考えるのだけれど、
そのうちのひとつが、
「仲間のためならがんばれる」
やはり人の胸を打つのはこういう事ではないか、
と考えたのである。
彼らには、同じ寮で4年間苦楽を共にした仲間がいる。
しかしその全員が箱根を走れるわけではない。
この大舞台を目指して入学し、共に練習した同士が、
不調やケガの影響で補欠にまわることもある。
そんな無念さを背負う仲間への熱い気持ちが、
他の選手や観ている者へ伝わり、
それに心を揺さぶられる。
さらに、長い距離を走るときの選手の必死な表情が、
それらの思いを助長しているようにも見える。
学生スポーツは、こうしたものが顕著に表れるから、
強く魅かれるのだろう。
これが駅伝ではなくマラソンだったら、
ここまでの人気はなかったかもしれない。
駅伝を含め陸上競技というのは、
確かにただ走っているだけなのだ。
しかしフォーカスすべきはそこではなく、
人に対する思いというエンターテイメントに共通した部分が駅伝にもある。
そこに着目すれば、
駅伝に限らず様々な事柄が面白く思えると僕は思う。