■「地上で生きるDNA」が訴えるものってナンダ!?
人間は飛べる生物ではなく、地に足をつけて生きる動物です。
昔は一番高い景色を見たいならばエベレストなどの山頂が限界だったはずであり、日本ならば富士山からの景色が当てはまります。
長年、地上で生活してきたDNAが埋め込まれているであろう我々が、飛行機が飛ぶ1万mぐらいから景色を見ればどう思うのか。固定概念を取っ払ってシンプルに考えてみましょう......。
答えはきっと「怖い」です。
しかし、なぜ現代では当たり前のように「綺麗」や「感動」といった表現をする人がいるのでしょうか。
それは、飛行機やパラシュートといった"飛べる環境"が「安全っぽい」からだと考えられます。
■たとえば、海の上も同じく――
人は航海をしますが、海は深く、また荒波も立っているので油断をすると命を落としてしまう恐ろしい大自然です。
さらに、タイプにもよりますが船酔いという症状も襲ってきます。
つまり、人は海の上で生きることに適してはいないと想像できます。
しかし、一般的に大海原を見たとき、口をついて出てくるのはやはり「ステキ」や「美しい」という言葉ではないでしょうか。
それは固く安全な地上から景色を見ている場合か、飛行機と同じく「安全っぽい」船に乗っているからだと思われます。
このように考えていくと、電車や新幹線、車、自転車なども、これらのスピード感を人間は先天的に持っているものではないので、普段は当たり前だと感じていた乗り物からの景色でも、案外不釣合いな大道具で体験しているのかもしれません。
これは「では歩くか、走るだけで生活しよう」ということではなく、高所恐怖症など恐怖症の話や赤ん坊は「高い高い」を本当は「怖い怖い」と思っているのではないのか、という話につながるのです。
(文=固いティッシュペーパー)