text and photo by 赤様
去る6月25日は、
アントニ・ガウディの生誕161年目にあたる日なのだそうだ。
ガウディといえば、
個性的な建物で知られているが、
やはり注目すべきはサグラダファミリアだろう。
僕がバルセロナに行ったのは2006年。
当時、会社の夏休みが最大5連休だったので、
少しでも旅行期間を長くするために、
定時に会社をあがって直接成田に向かい、
4時間後には出国するという弾丸旅行だった。
旅行の当初の目的はサッカー観戦だったのだが、
結果的に最も印象に残ったのが、
バルセロナのサッカーよりもロナウジーニョよりも、
このサグラダファミリアだった。
とにかくこの建物はすごい。
率直に言って、
「これを見てから死ね」と思わせるくらい、
一度は見ておくべきものだと思う。
その威容というか、堂々とした佇まいは、
あれから何年も経つのに、
未だにしっくりくる言葉がみつからない。
その名もサグラダファミリアという地下鉄の駅を降り、
エスカレーターや階段をのぼって、
地上に出た瞬間に現れる強烈なインパクト。
どうやっても忘れることはできない。
建物だから動かないのに、迫ってくるような威圧感がある。
それとは別に、
聖書の世界を表現した装飾は、
神々しい雰囲気があり、
そして、ところどころにある動物たちには
ユーモアがある。
そのどれもが体温が感じられ、
見る者を和ませてくれる。
でも、僕が面白いと思ったのは、その構造。
柱のつくり方が独特なのだ。
単に垂直なのではなく、
樹木のように上に行くほど枝分かれしている。
彼は自然の中に構造的な強さを見出し、
それを建築にも多用した。
そんな考え方が、
生物的な要素を取り入れた装飾とマッチして、
あのような素晴らしい世界観が表現できているのだと思う。
長い時間並んだが、
ホントに行ってよかったと思うし、
ぜひとも、もう一度行きたいと思っている。
そして、こういうことを実現するには、
自分のやりたいことは、目の前の誘惑に惑わされずに、
優先順位の高いことからやらないと、
人生、何もやれずに終わっちゃうぞ、とも思えるようになったのだ。
1882年の着工以来、すでに131年も経つというのに、
ここは未だに完成しておらず、
「入場料をとる工事現場」などと揶揄されることもあるそうだ。
でも、ヨーロッパの古くからある教会は、
いずれも完成するまで百年、二百年という永い歳月がかかっている。
2026年には完成するという噂もあるらしいが、
僕が思うのは、
こうしたせかせかした現代に、
建築家の意志を曲げることなく、
ゆっくりと地道に作り上げるものがあってもいいと思う。
※冒頭の「アントニ・ガウディ」は彼が育ったカタルーニャ語での表記で、
日本ではアントニオ・ガウディとすることが一般的ですね。