慌てて改札を抜けて、僕は目を見張った。
確かにあの頃の町なのだ・・・。
あの高度成長期、日本中が浮かれている最中、
まるでこの町だけぽっかり取り残されたかのような、
しかし、確実に変わりつつある子供の頃の町だった。
「え、なんで・・・?」
僕はそう独りごちると同時に、
途方に暮れた。
携帯がなければ、誰にも連絡が取れない。
財布がなければ、どこにも行けないし、何も買えない。
何もできない。
そして何故だかわからないが、目の前には懐かしい町。
「こ、困った・・・ なぁ・・・」
「とりあえず、歩いてみるか」
特に行く当てがなかったので、
懐かしい気持ちに従って、ただ歩き出した。
思い出というものは、
その環境に置かれると急に鮮明に思い出されるらしく、
いつの間にか夢中になって町のあちこちを走り回っている僕がいた。
日も暮れて、とうとう行く所もなくなり、
足は自然と実家に向いていた・・・。
「流石に、家には入れないよなぁー」
「ちょっと覗くだけ覗いてみるか」
そう思って裏口から家の中の様子を覗こうと頭を出した途端・・・
ゴ ツ ン !!!!!!
頭に思い切り痛みが走った。
「ぃ痛ぅーーーーっ!」
一体何かと頭を抱えながら振り返ってみると、
そこには憤怒の形相をして仁王立ちしていた若い頃の母がいた。
「こらッ!どこ行ってたんだ!!」
「まったくお前は、こんな時間までどこ逃げ出してたんだい!」
母がそう怒鳴っているのと同時に
僕は何がどうなっているのか混乱していた。
「(え!? 一体なんで!?)」
「(今の自分がなんで僕って分かるの!?)」
と、疑問に思いながら自分の手足を見てみると、
不思議なことにいつの間にか、子供の頃の僕になっていたのであった。
そんな僕を傍目に、母はまだ怒っていた。
「お前って子は、なんて罰当たりな子なんだい!」
「家のお稲荷様の像を壊して、そのまま逃げちゃうだなんて!」
あぁ・・・そうだ。
この時、僕は実家のお稲荷様の像を遊んでいて、
偶然に壊してしまって、逃げ出していたんだ。
確かにあの頃の町なのだ・・・。
あの高度成長期、日本中が浮かれている最中、
まるでこの町だけぽっかり取り残されたかのような、
しかし、確実に変わりつつある子供の頃の町だった。
「え、なんで・・・?」
僕はそう独りごちると同時に、
途方に暮れた。
携帯がなければ、誰にも連絡が取れない。
財布がなければ、どこにも行けないし、何も買えない。
何もできない。
そして何故だかわからないが、目の前には懐かしい町。
「こ、困った・・・ なぁ・・・」
「とりあえず、歩いてみるか」
特に行く当てがなかったので、
懐かしい気持ちに従って、ただ歩き出した。
思い出というものは、
その環境に置かれると急に鮮明に思い出されるらしく、
いつの間にか夢中になって町のあちこちを走り回っている僕がいた。
日も暮れて、とうとう行く所もなくなり、
足は自然と実家に向いていた・・・。
「流石に、家には入れないよなぁー」
「ちょっと覗くだけ覗いてみるか」
そう思って裏口から家の中の様子を覗こうと頭を出した途端・・・
ゴ ツ ン !!!!!!
頭に思い切り痛みが走った。
「ぃ痛ぅーーーーっ!」
一体何かと頭を抱えながら振り返ってみると、
そこには憤怒の形相をして仁王立ちしていた若い頃の母がいた。
「こらッ!どこ行ってたんだ!!」
「まったくお前は、こんな時間までどこ逃げ出してたんだい!」
母がそう怒鳴っているのと同時に
僕は何がどうなっているのか混乱していた。
「(え!? 一体なんで!?)」
「(今の自分がなんで僕って分かるの!?)」
と、疑問に思いながら自分の手足を見てみると、
不思議なことにいつの間にか、子供の頃の僕になっていたのであった。
そんな僕を傍目に、母はまだ怒っていた。
「お前って子は、なんて罰当たりな子なんだい!」
「家のお稲荷様の像を壊して、そのまま逃げちゃうだなんて!」
あぁ・・・そうだ。
この時、僕は実家のお稲荷様の像を遊んでいて、
偶然に壊してしまって、逃げ出していたんだ。