最後のブルトレ

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この13日にまたこの日がやってきた。
東京駅発着の最後のブルトレだった「富士」「はやぶさ」のラストランだ。
14日からのJRダイヤ改正に伴い廃止されるからだ。
週末のテレビのニュースなどでも随分と取り上げられていた。

fujihayabusa.jpg
EF66が牽引する寝台特急「富士はやぶさ」


そもそもブルトレとはブルートレインの略で、愛称でもある。
昔、鉄道マニアだったボクにとって、このブルトレは特別な思いがある。

国鉄時代にその歴史は始まるが、一般にも認知されるようになったのは、
やはり1958年に登場した20系客車に変わってからだろうか。
東京発の寝台特急「あさかぜ」がその象徴のような存在で、
20系客車は「あさかぜ形客車」なんて呼ばれたりしていた。
当時は荷物車や食堂車も連結され、まさに「走るホテル」だった。
2005年にはその「あさかぜ」も姿を消した。

小学校の頃から鉄道大好きだったボクには
ブルトレなんて憧れの先にあって、本物なんて見たことなかった。
ましてや「さくら」「あさかぜ」なんて鉄道雑誌での姿でしかなかった。
高校のときに修学旅行でこのブルトレに初めて乗り、
寝台特急にも関わらず、夜も眠れず興奮したのを憶えている。

鉄道マニアもいろいろと志向性があって、
私はいわゆる車両マニア。とりわけ電気機関車マニアだった。
ということでSL(蒸気機関車)にはそれほどの興味はないし、
ブルトレの主役である客車も同様だった。
だから牽引する電気機関車ELには特別の視線を向けていて
小学校の頃のブルトレ牽引機EF60型500番台は憧れの的であった。

地方から東京に出てきてからは、
今まで雑誌の中だけの車両が身近で見られるため、
東京駅にブルトレの写真を撮りに行ったものだ。
もちろん見に行くのは牽引機のEF65型1000番台だ。
これはそれ以前に使用していた500番台と違って
正面に扉の付いた形式だ。
ところで最後の東京発着のブルトレ牽引機はEF66形式だ。
これは元々貨物用の強力な牽引機として落成した直流電気機関車で、
貨物を引いたその姿を見ながら、これでブルトレを牽いたらカッコいいはず、
なんて妄想をしたものだったが、ずいぶん前にそれが現実のものになった。

スピード化し、新幹線での移動が主流になった現在、
ブルトレはやはり過去のものになったのだろう。
セキュリティの問題もあるし、なによりあの二段ベッドのような
形式での就寝には、今のライフスタイルでは受け入れにくいと思う。
近年、ユースホステルやペンションのような形態の宿泊施設の
数が減っているのもライフスタイルの変化の現れではないだろうか。
これも時代の趨勢ってやつで、仕方のないことなんだろう。

改めて、またひとつの時代が終わった。
でもブルトレは、ボクの記憶に永遠に残るだろう。
今でもEF65の牽引する「あさかぜ」はボクの頭の中を颯爽と走っている。

コメント(2)

正面に扉の付いた形式、知ってますよ。ブルートレインは私も修学旅行で乗りました。
列車の線路の音が微妙に変わり、その音で目覚めると寝台に朝日が入って、周りは違う景色…なんて事が驚きでした。
ホークソングの歌詞にある、「汽車を待つ君の横で…」とか「遠くで汽笛を聞きながら…」とか今の人には理解出来ないでしょうね。
のんびりしたまたひとつの時代が終わりましたね。

昔小学生の頃、「特急カード集め」が流行っていて、EF65型のブルトレのカードをよく目にしました。
生まれも育ちも関東だと、なかなか遠くに旅行でもしないと乗る機会もなく、
電車にベッドがあってそこに寝られる!と想像しただけでもわくわくしましたね。

そんな幼い頃見た夢も忘れた一昨年、初めて“ブルーレイン”(北斗星2号=のぼり上野行/九州方面ではないですが)に乗れました。

家族旅行なので、「旅愁」というのはあまりなかったですが、
それでも幼い頃夢見たわくわく感を思い出し、
家族が寝静まった夜中に窓の外を流れる見て、BGMは線路の音で。一人で乾杯!
いやー満足満足。

時代とともに消えゆくブルトレでは、こんな至福の時間も味わえなくなるんでしょうね。
乗れるうちにもう一回のりたいなーーーー。

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このブログ記事について

このページは、cforceが2009年3月16日 09:00に書いたブログ記事です。

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