text by 赤様
デジカメで撮った写真や、ネットから拾えるフリー素材があるので、
年賀状を書くのは、以前と比べてずいぶん楽になった。
だから僕も、今ではパソコンを使うようになった。
しかしそれ以前は、僕は手書きにこだわっていた。
プリントごっこが全盛のときでも、意地でもそれは使わず、
毎年かなりの時間を使って、しかもひとり一人に異なるメッセージを書いていた。
だから、正月休み中に書き終わらないことがよくあった。
教室で仲間と顔を合わすと、もうその年は書かなくてもいいかな、
なんて思ってしまうことが多かった。
今年届いた年賀状を見ていて、そんなことを考えていたら、
ふと、ある年賀状のことを思い出した。
それは、僕が高校2~3年のときに、同じクラスの友人からもらった年賀状だ。
それは今でも忘れられないモノなのだ。
彼は、僕とは比べ物にならないくらいの凝り性で、
4枚組みの力作を、なんと2度も送ってくれた。
あまりにも秀逸で、僕ひとりで楽しむのはもったいないので、
20年もの歳月は経っているが、ここで紹介したいと思う。
こちらが1987年にもらった年賀状(4枚組み)
※ ↓をクリック(画像が大きいので)
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そしてこちらが1988年にもらった年賀状(4枚組み)
※ ↓をクリック(画像が大きいので)
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彼とは地理の成績でいつも僕とクラスのトップを争っていた。
僕は他の教科はからっきしだったが、彼はどの教科も秀でていた。
強いてあげれば、他に僕が勝てるのは、体育くらいだった。
彼はノートも参考書のように見事に整理されていて、
出版したいくらいのシロモノだった。
そんな秀才な彼だが、僕とは毎日教室で冗談を言っていた。
僕は全くマンガが読めないのだが、
休み時間に、仲間が廻し読みしている少年ジャンプの中で、
唯一興味があったのが「こち亀」で、彼がそれをチョイスしたのだ。
見てのとおり、絵も抜群に上手い。
でも、どんな絵を描いたかということよりも、その情熱に感服する。
ここには出していないが、もう1年分あわせて、
合計17時間を制作に要している。
しかも文章も笑わせてくれる。
まさに、こういうのを宝物というのだろう。
彼のその思いに感謝するのと同時に、
僕はこの年賀状は一生とっておくことを約束する。