通学も遊びの時間

text by 赤様

以前、僕のウチは、新興住宅街にあった。
小学校を卒業したとき、近所の中学校はまだ建築中だった。
だから1年間は、距離がある隣りの中学校まで通った。
ほとんどの者がバスでの通学を選んだが、
僕らは30分かけて歩いて通うことにした。

僕のウチの前が集合場所になり、毎朝5~6人ぐらいで群れをなした。
そのぐらいの人数が集まると、遊びが始まるのは当然の展開で、
通学時間は僕らにとっては遊びの時間だった。
1年間いろいろなことをしたが、ちょっと話せないこともあるので、
それらは伏せておいて、そのうちのひとつを話そう。

あるとき流行ったのが、
仲間の1人だけに目隠しをして、学校まで連れていくという遊び。
30分ものあいだ、腕を引っ張っていくのだが、
ただ引っ張ってくだけじゃつまらない。
そこにいろいろなアドリブ的サプライズが巻き起こるのである。

いつも通る道はだいたい決まっている。
だから目隠しされている方は、それを信じて
「今、どのあたりだよー」と不安げに聞いてくる。
「○○だよー」と適当に答えるのだが、
そんなとき、いつもの道を行くんじゃぁ面白くない。
途中から全然違う道にそれていく。
目隠ししている仲間にバレないように、
『こっち行こうぜー!』と指を差して大きくジェスチャーする。

そのうち、
「あっ! ここ、ドブのフタがないから大股で跨いで!」と
ありもしないドブを跨がせる。
すると「え、こわい、こわい・・・」とおびえる。
まわりの仲間は、笑いをこらえるのに必死だ。
跨いだあと冷静になって、
「えー、こんなところあったっけ?」
「まあまあ、早く行こうぜー」と、ごまかす。

普段は通らない音の鳴る横断歩道に近づくと、
「こんな音がするところ、いつも通らねーぞー」
「今、取り付け工事してんだよー」
なんて、めちゃくちゃな言い訳ばかり。

それが、だんだんエスカレートしていき、
仲間の誰も知らないところまで行ってしまうこともあった。
「まだ、着かねーのー? 遅刻するぞー」
「余裕だよー、余裕」と言いながら、
1時間も遅刻したこともあった。

そんなように、どんなことでも遊びにしてしまっていた。
毎日が抱腹絶倒な日々だった。
そんな馬鹿げたことが、
今のバイタリティの基になっているのかもしれない。

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このブログ記事について

このページは、cforceが2007年10月26日 09:00に書いたブログ記事です。

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