~世界陸上まで、あと2日!!!~
text by 赤様(大阪世界陸上を勝手に盛り上げよう委員会会長)
陸上競技ほど、生で観たほうが面白いものはない。
僕はそう思っている。
ひとつは選手のパフォーマンスの凄さが感じられるからだ。
生身の人間の運動能力っていうのは、こんなにあるものかと驚く。
想定外のスピードやパワーは、野生動物を連想してしまうほどだ。
これは、メディアを通してでは、体感できない。
もうひとつは、スタンドの雰囲気が唯一無二の楽しい空間になることだ。
陸上競技は、サッカーのように2つの国が対戦するスポーツではない。
たとえば100mなら8人で走るので、
それだけでも8つの国の選手が対戦することになる。
また、100m、走幅跳び、砲丸投げ、ハンマー投げ、棒高飛びなど、
いくつもの競技が同時並行して行なわれる。
すると、いろいろな国の観客が、それぞれの国の選手を同時に応援する状況が生まれる。
みんなそれぞれ観ているところが違うのだ。
では実際に、スタンドはどうなるのか。
たとえば、僕が棒高跳びに視線を送っているときに、
選手が跳んでもいないのに、あさっての方向から
「ウォーーーーー」とガッツポーズする外国人の観客がいたりする。
その彼の目線を追うと砲丸投げで高記録が出ていたりする。
僕の右に座っている白人は走幅跳びの選手名を連呼しながら国旗を振り、
左に座っている黒人は400mのレースを観て絶叫している。
こういうときの外国人は日本人の比にならないほど陽気で、
人目をはばからず騒ぎまくる。
それぞれが自分のスタイルで、自分の言語での応援なので、国際色が豊かだ。
それにつられて日本人もだんだん陽気になってくる。
そのうち、観客同士が国籍、人種の枠を超えて意気投合し、
だんだんその意識が広まっていくと、どの選手でも応援する輪が出来てくる。
跳躍種目の選手が求める手拍子にスタンドの全観客が応え、
まるでライブ会場のような、異様な一体感のある空間になるのである。
たまらない瞬間である。
それが16年前、東京で行われた世界陸上で、僕が始めて体験した楽しさだった。
競技の種類の多さ、選手の出身国の多さというのは、そんな魅力も備えている。
さて、僕も開幕に合わせて大阪に上陸する。
大会が、そして競技場が盛り上がるか否かは、日本人選手の活躍と、
外国人の観客がどれくらい多いかにかかっていると言っていいだろう。