十種競技の過酷さと素晴らしさ

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~世界陸上まで、あと16日!~

text by 赤様(大阪世界陸上を勝手に盛り上げよう委員会会長)


陸上競技には、十種競技というものがある。英語でデカスロンと言う。これは男子の種目で、女子には種目数を減らした七種競技(ヘプタスロン)として行われる。十種競技は、100m、走幅跳び、砲丸投げ、走高跳び、400m、110mハードル、円盤投げ、棒高跳び、やり投げ、1500mを2日間で行うという、マラソンとはまた違った過酷な競技である。競技する順番も決まっていて、各競技のタイムや距離を細かく点数化して、その合計得点で順位を競う。

陸上選手にとって唯一の道具と言っていいスパイクは、各競技ごとに適したものがあるので、選手は短距離用、長距離用、幅跳び用、高跳び・棒高跳び用、やり投げ用、円盤・砲丸投げ用とバッグの中はスパイクだらけになる。

選手はどの競技も平均的にできる人が出場するかというと、そうではなくて、それぞれの競技のトップレベルの実力が必要とされる。必要な身体能力は、それぞれの競技によって相反するものがあるので、優勝者にはキング・オブ・アスリートという称号が与えられるほどだ。

と言っても、誰しも得意不得意はあるものだ。また、2日間で常に最高のパフォーマンスを発揮するのは難しい。だから、最高の得点を出すための自分なりの戦略も当然必要になる。たとえばある選手は、高跳びで全て失敗すると記録なしになり成績に響くことを嫌い、その前の砲丸投げはほどほどにしておいて、高跳びに集中する時間を作る、ということをしたり。またある選手は、苦手なやり投げの1投目でそこそこと思える記録が出たら、あとはパスして、次の種目に力を温存ということをしたり、と。

そういうところを観る楽しみ方も奥が深くて面白いのだが、そんなことがわからなくても、ぜひとも観てほしいシーンがこの競技の最後にある。それが最後の競技1500m。それ自体がとりわけ面白いというわけではないのだが、そのゴールシーンが、マラソンのそれよりもいいシーンだからである。

他の種目なら、同じ種目に出場する選手はライバルになるところだが、この競技は過酷さゆえに、選手間に連帯感が生まれるのである。ゴールでは、選手同士が肩を組んでゴールしたり、勝者も敗者も関係なく互いの健闘を称えあって、出場選手全員で笑顔でウイニングランをしたりもする。非常に感動的である。

日本では、マスコミで取り上げられる機会もほとんどなく地味な存在だが、陸上競技の認知が高いヨーロッパでは、ファンもその凄さを理解していて、このゴールの瞬間がオペラの終演のときのように、スタジアム中が拍手喝采になる。絶対にやろうとは思わない過酷な競技だが、このときだけは、彼らが羨ましく思えるのである。

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1991年に東京で世界陸上が開催されたときの米国代表にダン・オブライエン選手がいましたが、あの活躍をテレビで見て以来、この競技の虜ですね。記録がポイントで記されるのも重みを感じます。

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このページは、cforceが2007年8月 9日 09:00に書いたブログ記事です。

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