text by 赤様
オリンピックは開催する7年前に決まることになっている。2014年冬季オリンピックがロシアのソチという街に決まった。すでに2012年の夏季オリンピックがロンドンに決まっているので、欧州での連続開催となる。ソチに決まった翌日、ローマは2016年オリンピックの立候補を取り下げてしまった。3度連続しての欧州開催はありえないと読んだからだ。東京のライバルがひとつ減ったことになるのだが、果たしてそれは幸運なのだろうか。
それというのも、2016年の招致活動をしている東京は、実は2020年の開催に照準を合わせており、2016年はそのアピールのための機会と踏んでいた。しかし、世間が予想以上に盛り上がり、そんな実情を言えなくなってしまった。そんな噂を耳にした。
布石を打つことはオリンピック招致ではよくある話しで、大きな都市がより確実に開催権を得る手段だ。その分費用は嵩むが、アピールする時間は長くなる。
そこまでしないと招致できないのは、こういう事実が過去にはあるからだ。2004年に開催したアテネは1996年にも立候補しており、2008年開催の北京は2000年にも立候補したのである。1度目では、そうそう願いが叶うものではないのだ。1988年に名古屋が、2008年には大阪が立候補したが、ともに夢破れたのはご存知だろう。特に大阪は、約100票の全投票数のうち6票しか獲得できなかった。それだけ招致は難しいのだ。
先日東京大会のロゴが発表された。進呈物の包みを結ぶのに用いる「みずひき」をモチーフにしたものだ。日本の伝統をうまく取り入れたデザインだ。はたして、東京の思いは実を結ぶことができるのか。ライバルは、マドリード、シカゴ、リオデジャネイロ、ドーハ、バクー。待つほうも、気長な姿勢が必要なのだろう。