text by 赤様
21日から日本シリーズが始まる。札幌で行われるのは初めてだ。パリーグ優勝で盛り上がっている札幌のファンに、日本ハムがもうひとつのプレゼントを用意した。それはシリーズに備えて行われた紅白戦をファンに公開したのだ。
こんな大事な試合の前には手の内を隠したいはず。でもそれよりもチームは試合の臨場感を求めた。公開しなかった日には、試合中に録った観衆の音をわざわざ無人のスタンドに響かせていたほど。試合の雰囲気、観客の声援という臨場感を大事にしたかったのだ。
また入場料がユニークだった。ファンに提示された入場料は「自由」。ファンそれぞれ思った額を払ってもらえればいい、と。だから「自分の小遣いから払うから1円で許して」という無邪気な小学生から、「警備員や関係者の費用がかかってるんじゃないの?」という優しいオジさんまで、1円から数千円まで額はさまざま。ひとりひとりの気持ちで構わないという点がとてもおもしろい発想だ。
何気ないひとつの試みだが、それでファンもチームも満たされるものがあり、より相互のつながりを感じられるのならどんどん行うべきだろう。
日本シリーズで思い出されるのは、僕が小学校4年生のときのこと。阪急と巨人が戦った。阪急ファンだった僕はどうしても見たい試合だった。当時パリーグの試合なんてほとんど放送がないし、まして関東ではほとんど認知されてないチームだ。でもなぜか横浜の学校なのに、同級生はみんな阪急の帽子をかぶっていた。ウチのクラスでは、多数派は巨人ではなく、阪急だった。
僕らの意見を汲んでくれたのか、当時昼間にやっていた試合を先生は教室のテレビで授業を中断して見せてくれた。「オレ○○(←選手名)がきらいだー」『○○打てーーーーー!!』なんてシチュエーションでヤンヤ言いながら見たからおもしろくないワケがない。今でも強烈に心に焼きついている。