text by 赤様
Tシャツ持ちと言われている。
3千円くらいで安く、気取らずに、楽しいデザインのものが手に入るから、
かれこれ2~30枚持っている。
バリエーションも豊富で他人とカブることもほとんどなく、
それゆえ選ぶ楽しみも多いので嬉しいかぎり。
だからこそ、他人の着ているTシャツはとても気になり、
夏はすれ違う人たちのモノのデザインを見るのがひとつの楽しみでもある。
逆に、すれ違った人と同じものを見つけるのは大変なのだが・・・。
きっかけはかなり昔のことで、ある店の店頭に飾られた「もやし」Tシャツ。
左胸に小さく「もやし」と筆文字で縦書きされて、
その言葉の上にもやしの絵が1本描かれていた。
力が抜けるようなバカさ加減さが表現の自由さを連想させ、
探せば面白いものがあるのかも、と思ったからだ。
市民マラソンに出場するときも、同じように楽しいTシャツに出会えるチャンス。
「百戦錬磨」「追越禁止」「スピード違反取締り中」など、
その試合のためにわざわざオーダーしたの?
と思わせるほどのその場にあった文句は、
息を切らせて走る僕らにちょっとした安らぎを与えてくれる。
最近見たモノでは、
柔らかい書体に金色の文字で胸に大きく「セレブ☆」
と書かれたピンクのTシャツ。
着ていたのが大学生くらいの細身で長髪の男だったので、
そのギャップがおかしかった。
また、筋肉ムチムチの外国人が着ていたのは、
胸のド真ん中に控えめな大きさで一言「子供」と。
さらにTシャツではないけれど、
くせっ毛の若い外国人男性の着ていたジャージの背中に
「セレブの間で大人気」というのも、
意味わかってるの?
とツッコミを入れたくなってしまった。
そう思いながらもふと考えると、
もしかして僕らが何気なく着ているアルファベットが並ぶTシャツって、
まともなことが書いてあるのだろうか。
すれ違った外国人が笑ってるかもしれない。