今のサッカー日本代表に必要なもの

                            text by 赤様

 2006年に行われるサッカーのドイツワールドカップに出場する32ヶ国が出揃った。最も関心があるのは今の日本代表にはどれほどの力があるのか。予選リーグ突破ができるのか。どこまで勝ち残れるのかということだろう。しかし勝てる可能性が高い相手と試合をして、今後はたして日本は本当に強くなれるのだろうか。

 「強い国と当たりたい」。ワールドカップで対戦したい国を尋ねられた中村俊輔が語った言葉が、先日新聞の1面を飾った。私も同感である。日本が強いチームになるには強いチームと真剣勝負を重ねなければならないからである。

 前回大会、日本はベルギー、ロシア、チュニジアという組みやすいグループに入りベスト16へ進出し、日本中に大きな感動を残した。しかし、共に開催国となった韓国は、ポルトガル、アメリカ、ポーランドと難しいグループに入った。予選突破は難しいと思われたが、競り合って決勝トーナメントに進むと、あれよあれよという快進撃。国中も赤いTシャツを着て一体の応援となり、都会の大きな道路を埋めてしまうほどの大観衆が街頭の大型ビジョンにエールを送った。「テーハミングッ」のかけ声は私たちの印象に残った。世界からの視点では、アジアの奇跡イコール韓国であった。当時の代表監督は一躍欧州でも評価されることになった。対して日本は、ベスト16という結果ほど世界の人からは目を向けられなかったのではないか。

 確かに強豪国と当たって簡単に負けてしまえば評価の場にすら立たなかったであろう。しかし彼らはそのチャンスを逃さず、見事な番狂わせだった。日本がワールドカップに出られない間、韓国は4度も出場し、世界との真剣勝負という貴重な経験をしてきた。結果としてその間1勝すら出来なかったが、それが韓国サッカーの年輪になっていることは間違いない。

 さて、2006年のドイツ大会。日本はたとえ予選グループで敗退しても強豪国と対戦すべきだと考える。なぜならキリンカップや欧州遠征などで親善試合を組むとき、私たちが憧れる強豪との対戦を組むのは難しいからだ。欧州や南米の強豪国からの訪日は距離がありすぎ、スケジュールやコンディションの面で難しいのである。だから訪日する外国のチームは本気モードではない場合が実に多い。

 また、日本が遠征する場合でも今の日本の実力では、残念ながら強豪国にとってレギュラー全員を出場させるほどのレベルではない。強豪国にとって日本という国は本気で戦う相手には成り得ていないのだ。その良い例が、先日のウクライナ戦。世界でも指折りのストライカーであるシェフチェンコは出場せず、他のレギュラークラスの選手も姿を現さなかった。日本は嘗められた。

 前回大会、韓国が対戦した強豪国は、ポルトガル、イタリア、スペイン、ドイツ。このような国と親善試合をやれることは希少な事だ。だからこそチームとして目覚ましい活躍はなくても、強豪国にひとつでも勝利することによって得るものは、何者にも代え難いのである。その事なくして強い日本には成り得ないのだ。

 さて、日本時間12月10日未明には、ドイツのライプチヒで組み合わせ抽選会が行われる。はたして日本はどの国と対戦するのか。「簡単に勝てる国と・・・」という考えはもう終わりにしよう。私たちは強い日本代表をみたい。そのためには積み重ねが必要である。

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このページは、cforceが2005年12月 7日 09:05に書いたブログ記事です。

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