八歳の頃、家の時計をすべて、二十分早めたことがある。
当然、朝から家族は大慌てとなった。
姉はなぜ起こしてくれなかったのかと大きな声を出し、母はお弁当のおかずを二品へらすと宣言した。
父は朝一番、決まって三度する放屁を一回にとどめた。
玄関が破れるのではないかと思う勢いで姉と父は家を飛び出していった。
私は平静を装いながら、いつもより二十分早く学校に登校し、その一部始終をクラスメイトに話した。
問題はその夜だった。
最初に気がついたのは、専業主婦の母であった。
日中のワイドショーが十時になっても始まっていないことがきっかけでイタズラに気がついたのだ。
私が夕方に帰宅すると、時計はすべて正確な時を刻んでいた。
つづく