僕からみたボルト

text by 赤様


こんな人は、なかなかいないと思っている。


それは、

何度も金メダルを獲ったからではない。

世界で最も速いからでもない。


明るくてお茶目で偉そうでなくて、

いつも楽しそうだからだ。


本名 Usain St.Leo Bolt

※「Usain」はウサインではなく「ユーセイン」と発音。


競技成績が良くて、

かつ人間的にも魅力があるから人気のある選手は、

これまでにもたくさんいた。


でも、そうした選手は、

練習にも貪欲で、

私生活も競技を中心とした行動をしている場合が多い。


それがゆえに、

ファンやマスコミに対して一線を引き、

それらと接する時間以外は、

自分を隠すことがある。


それが物足りなくて、寄ってたかって選手を追い回す光景は、

テレビでもお馴染みだ。


選手もひとりの人間だから、それはしょうがないと思う。

「あの選手は無愛想」などと思わないで欲しい。

それは競技で結果を残すための、

彼らなりの集中する手段なのだ。

そこからわかるのは、

たいていの選手は、

それだけでイッパイイッパイなのだ。


でも、ボルトはちょっと違う。


チヤホヤされるのが好きなのか、

賑やかなところが好きなのか、

人と接することを厭わない。


見知らぬファンにもおどけて見せたり、

マスコミにもフォトジェニックなポーズをとったりと、

とにかくサービス精神旺盛だ。


「彼はとてもフレンドリー」という記事や、

競技後の取材も数時間立ちっぱなしで対応してくれた、

という記事も多くみる。


競技のスタートの前には、

脱いだウェアを運ぶ係員とグータッチをするのは、

ファンの間では有名な光景だ。


係員は、ボランティアかアルバイトの一般の若者の場合が多く、

ボルトの担当になって浮かれているところに、

グータッチまでしてもらい、係員から笑みがこぼれる。

他の係員は、ウェアをプレゼントされたこともある。


極度の緊張と集中を強いられる場面で、このゆとり。

こんな選手、今まで見たことがない。

たぶん彼は人間そのものが好きなのだろう。


そんなボルトでも、

結果が出るまでは、かなり苦労をした。


脊柱側弯症(せきちゅうそくわんしょう)という病をかかえていて、

今現在も彼の背骨は曲がっている。

これが脚の筋肉に大きなダメージを与えるので、

日頃からその対策を欠かさない。


トップ選手になる前は、

その影響でレース中によく肉離れを起こして途中棄権し、

よく泣いていたのだそうだ。

本当は気が優しくて健気な人なのだ。


ただ単に天賦の才の恩恵にあずかってきたわけではなく、

逆境を乗り越えてきた上に、

今の世界最速の称号があるのだ。


これで見納めになってしまったのは、とても残念だが、

彼の今後の日常でも、

誰かを和ませていくのであろう。

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このブログ記事について

このページは、cmemberが2017年8月25日 09:00に書いたブログ記事です。

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