text by 赤様
「歳を重ねるのが楽しい」
ある著名人がテレビで語っていた。
その言葉がとても気になった。
歳を重ねるというのは、どういうことなのか。
生理的に老化していくのとは、
ちょっと違うんじゃないかと僕は思った。
それはいろんな出来事が複雑に絡み合いながら、
ちょっとずつ自分のなかに積み重なっていくようなものじゃないかと、
僕は考えた。
仕事をしているときも、
好きなことに没頭しているときも、
家族と過ごしているときも、
テレビを見ているときも、
人間は何かを感じ、思考は何かに影響される。
そんな様々な過程のなかから、
人との距離の取り方がわかり、
物事の分別や塩梅がわかり、
必要と不必要の境目がわかり、
効率的なやり方がわかり、
力の抜き方がわかるようになる。
わかることが増えると、心理的に余裕ができ、
自分自身をコントロールしやすくなる。
人はそれを経験値といい、
同時にネットワークができてくる。
こうしたことが基盤になって、
それに自身の好奇心が加わると、
歳を重ねるのが楽しいと思えるのではないか。
では、それに至るにはどうすればいいのか。
僕も詳しくはよくわからないが、
まだ学生の頃、人生の大先輩にこんなことを聞いた。
歳をとるにつれて、
人生が、だんだん楽になっていく人と、
だんだん面倒になっていく人と、
2つのタイプに分かれるのだと。
誰がどちらのタイプかなんて、
僕にはわからない。
でも、起こったことや、自身の状態をどう考えるかは人それぞれで、
どうやら僕は、そこにヒントがあるような気がしてならない。