text by 赤様
会社のとなりのビルが解体され、
その土地が駐車場になった。
↑現在の様子
十数階建ての、わりと大きなビルが
日に日に小さくなっていく。
↑工事中はこんな様子だった
冬からおよそ4ヶ月。
その様子が面白くて、
仕事の合間に非常階段から何度となく見物していた。
すると、同じように注目している人が何人もいた。
隣り合う他のビルにも見物人がいた。
やはり男子は、
こういうのが好きなのだろう。
このビルの解体は、上の階に重機を運んで、
上から順に壊していったのだが、
柱や壁をどんな機械でどう壊すのか、
壊したものをどう地上まで降ろすのか、
鉄筋をトラックに乗せられる大きさにするのにどうするのか、
そもそも作業する重機を上の階にどう上げるのか、
好奇心がフツフツと湧いてくる。
ビルが密集する都会で、
技術と段取りに優れた達人が作業していく様子は、
見ていて飽きることがなかった。
でも、こんな達人ワザは、工事現場だけではなく、
日常の身の周りにもあるな、と思った。
僕は、中華料理屋に入ると、
なるべく厨房の見えるところに座るようにしている。
以前、料理の鉄人なんて番組もあったが、
料理人の手さばき、段取りの良さは、ひとつのアートである。
料理とは言えないが、
たこ焼き屋のスティックさばきとかを、
見入ってしまったことがある方は多いだろう。
なぜだろうか。
あんな熟練のワザは見ていてとても面白い。
僕は子どものころ、
道路の横断歩道や「止まれ」の文字が書かれるのを、
何時間も見ていたことを思い出す。
それ以外にも、
ペンキを塗る左官屋の刷毛さばき、
細い路地を巧みに曲がるバスの運転手、などなど・・・、
おそらく世の中のいろんなところに、
多くの達人がいることは容易に想像できる。
既にあるのかもしれないが、
こうした達人の技を集めたDVDなんかがあったりしたら、
面白いと思うのは僕だけではないだろう。