text by 赤様
11回目の京都ネタです。
でも今回は絵の話しをします。
先日、「京都―洛中洛外図と障壁画の美」という催しを見に、
東京国立博物館に行ってきました。
と言っても、僕は古典画が好きなワケではありません。
たまたま、見たいと思っていた絵の展示があったからです。
お目当ては「洛中洛外図屏風」。
これは、室町時代から江戸時代にかけて描かれた屏風絵です。
洛中洛外図と呼ばれるものは、
何人もの画家が描いていて、多くの種類が存在します。
↓下の2枚は舟木本と言われる絵 (画像をクリックするとちょっと大きくなります)
いずれも、京都の町の広い範囲を俯瞰して描かれたもので、
当時の町や市民の様子が表現されています。
かなりゴチャゴチャした絵ですが、
なぜか僕はこうした絵が好きなのです。
よく見ると、数えきれないほどの人間が描かれ、
ひとりひとりの感情まで表現されていて、
見ていてとても愉快です。
↓たとえば、こんな感じ(一部分を拡大したもの)
日本の古典画といえば、
桜とか松とか、鷹とか虎とか、動植物を描いたものを思い浮かべますが、
この絵は、当時の人間の体温が感じられるところが、
気に入っている最大の理由です。
そして同じ会場に、これは!と思わせるものがありましたので、
それも紹介しましょう。
それは二条城の壁の絵です。
1867年、徳川慶喜が大政奉還します。
歴史の教科書に載ってるこんな絵を見たことないですか?
この部屋の壁や襖(ふすま)の絵が、
部屋と同じ配置で展示されていました。
この絵の前で、
あの歴史的な出来事が起こったのかと思うと、
ちょっと感慨深く思いました。
と同時に、同じ配置で並べられているので、
立体的に体感できるのも面白いところでした。
博物館や美術館のこうした展示は、
見せ方に工夫を凝らしているなと、最近、特に感じます。
キュレーターや学芸員の人たちが、
知恵を絞っているのがわかります。
保存のために普段は公開していないものや、
遠方にあるため見に行けないものを、
こうした機会に、様々な工夫で、
よりよく見れるのは素晴らしいことだなあと思った一日でした。