text by 赤様
昔話しで有名な桃太郎。
誰でもご存知のことでしょう。
桃太郎が、おばあさんからきび団子をもらって、
サル、キジ、イヌにそのきび団子を与えて家来にして、
鬼ヶ島に鬼退治に行く話しです。
桃太郎と戦う鬼は、空想上の生き物です。
頭には角があり、毛皮のパンツをはいています。
では、鬼はなぜあのような格好なのでしょうか?
鬼門という言葉があります。
それは北東の方角です。
鬼は北東の方角からやってくると言われているからです。
古文の授業で習いましたが、
十二支で北東の方角を表すと、丑寅(うしとら)になります。
そういうことから、
鬼は牛を表す角があり、虎を表す毛皮のパンツをはいているのです。
昔、都を造るときにも、
京都の街の北東には延暦寺を、
江戸の街の北東に寛永寺を置き、
それぞれ、街を守る役割を担わせました。
(本当は延暦寺は京都に都が移る前からあったのですが・・・)
そうやって鬼門に重きを置き、
鬼(災い)から自分たちの生活を守る風習があったのですね。
それでは、
桃太郎の家来のサル、キジ、イヌはどうでしょう。
キジは鳥を表しますが、なぜサルと鳥とイヌなのか。
もうわかりましたね。
これも十二支に当てはめると、南西の方角になります。
つまり、鬼門と言われる北東と反対の方角になるのです。
これを鬼門の反対側に位置することから「裏鬼門」と言うそうですが、
反対の方角の生き物で、
鬼に対抗しようとしたということです。
子ども向けによく語られる桃太郎ですが、
この話しは、実は方位学に基づいた話しだったのですね。
僕も数年前まで全く知りませんでした。
それから、桃のことにも少し触れましょう。
桃は、大陸から来た価値観によると、神聖な果物なのです。
他にも、仙人、不老長寿、無敵、パーフェクトというイメージがあるそうです。
また、桃は邪気を払うとも言われています。
桃太郎が鬼に対抗できるのは、
こうした神と同じ力を持つからなのです。
♪桃太郎さん 桃太郎さん お腰につけたきび団子~
というほのぼのとした童謡とはほど遠い印象ですね。
ちょっと検索してみると、
子ども向けの昔話というワクにおさまらず、
出典の違いによって、諸説あるようですが、
どうやら、かなり奥が深い話しみたいです。
興味のある方は、ちょっと探ってみてはいかがでしょうか。
昔の古い風習や価値観(民俗学の領域でしょうか?)に興味がある人には、
新たな発見があるかもしれませんよ。