text by 赤様
会社で漫才をやってから、もう3年半も経つ。
コンビを組んだ同僚のTさんと、
昼休みや仕事が終わった夜に秘密練習をやったころは、
本当に出来るのか?と自分たちでも半信半疑で、
そのドキドキと、
やってやろうぜというワクワクが入り混じったあのころのことは、
未だに鮮明に覚えている。
※そのときの様子の綴ったブログはこちら↓
http://www.cforce.co.jp/blog/2009/07/post-902.html
それ以来、
僕はテレビでみるプロの漫才の見方が変わった。
ネタの作り方、台詞の覚え方、呼吸の合わせ方、間の取り方、
客の引きつけ方、などなど・・・。
あれは、どうやっているんだろう?
という疑問がいろいろあって、
そこに注目しながらみていると、
なにか醍醐味みたいなものが垣間見えたりする。
でも僕らの実際は、ギリギリまで台詞を覚えることで精一杯で、
上手く見せよう、というところまでなかなか意識がいかなかった。
忘れたときのために、
「そうなったら、ご愛嬌でカンペを見ちゃおう」なんて申し合わせをして、
ポケットに入れて、みんなの前に立ったものだ。
だから、カンペを見ずに、台詞を飛ばさずに喋れただけでも、
そのときは「凄い」と思い、
何年も味わってないほどの大きな達成感があった。
でも、間の取り方というか呼吸の合わせ方というのは、
最後まで全くつかめなかった。
その片鱗すら、垣間見ることもできなかった。
だから、僕はこれが最も難しんじゃないかと、実感として思う。
なぜ、そんなことを思ったかというと、
先日、たまたま見た番組で、
オール阪神巨人の巨人さんがこんなことを話していたからだ。
ふたりで試行錯誤して、舞台で阿吽の呼吸になるまで、
毎日3時間の練習を続けて8年かかったのだと。
プロだから当然といえば当然かもしれないが、
まるで職人技のように、
積み重ねて、磨き上げていかなければ到達できない凄さに、
僕らなんか、比べることすらおこがましいと思った。
それから、以前こんなインタビューを見たことも思い出した。
夫婦漫才の宮川大助花子は、デビュー当初、
花子さんがボケで大介さんがツッコミという、今と逆の役割だった。
でも、そのときは全くウケなかったのだそうだ。
そう言われてみると、
夫婦漫才で、女がボケで男がツッコミという例は、
ほとんどと言っていいくらい見ない。
考えてみれば、
小さいものが大きなものをギャフンと言わせるから、
面白いのであって、
子どもが大人にツッコむから、
ねずみが猫に噛みつくから、
亀がウサギに勝つから痛快なのだ。
女がツッコミなのがウケるのは、僕はそれと同じなんじゃないかと思う。
※ちなみに余談だが、ボケ役は「とぼける」の「とぼけ」が「ボケ」になったのだとか・・・。
僕らは、ボケとツッコミが入れ替わるスタイルで漫才をやったが、
どちらかに固定してやっていたら、
もっと面白く作れたのかもしれない。
また、懸命にやってる姿、役になりきっているところ、ぎこちない素人っぽさも、
笑いを起こしている要素になっていることを、
僕らも重々承知はしている。
でもどんなことでもそうだが、実際にやってみると、
その世界の面白さがどんどん明らかになっていく。
そんな新たな醍醐味を求めて、
これからもまた、新しいことに挑戦していきたいと思っている。
それでは、
コンビでの『憑依芸コント』を希望します。
あの、
志村けんやウッチャン、友近のような、
なりきり芸です。
練習中しすぎれば、あなたもデ・ニーロ。
ハリウッド遅咲きデビューも夢ではナイ。