前を向いて

text by 赤様

「瓦礫はゴミなんかじゃない」
プロサッカー選手の小笠原満男が、
インタビューに対して答えた言葉が強烈に焼きついた。

彼は、被災地にある岩手県の大船渡高校出身で、
震災後、いち早く被災地に入り、自身に出来得ることを模索した。
あまり口数の多くない彼から発せられる言葉は、
だからこそ説得力があり、切なる思いが伝わってきた。

まっさらになった海岸付近の土地には、
確かに彼らの生活があった。
同時に、そこにはさまざまな思い出がすり込まれている。

いまだに、再建の空気が感じられないその光景をみると、
何の言葉も出ない。

「あれから1年」とマスコミは謳うが、
当事者にとっては過去の出来事ではない。

これまでにも、いろいろなところで様々な人たちが、
大きな災害に遭遇してきた。
しかし、人は、そのたびにその状況を克服してきた。

被災者ではない僕が、わかったようなことは言えないが、
人のあたたかさ、つながりの大切さを再認識し、
自分とは何か、人生とは何かを自問自答した被災者も、きっと多いだろう。
そのなかで、おそらくいろいろな意識が変化したことは、想像に難くない。

困難は人を大きくする、と言うが、
環境の変化というものは必ず起こる。
それは、誰であろうと、どこに居ようと、どんな立場であろうと同じだ。

変化にどう対応するのか。
気持ちの揺れに惑わされず、周囲の雰囲気に流されず、
自分をしっかり持って歩んでいくことは難しい。
でも、そこを少しだけでも踏ん張ること。
それができれば、よりよい明日はきっと来るだろう。

福島第一原発の非難区域にある原町高校の生徒が、
テレビのインタビューで語った言葉が印象的だった。
「3月11日は自分にとって大変な日だったけど、
大変という字は大きく変わるという字。
自分を大きく変えてくれた、
成長させてくれたきっかけになった日だ」と。

何をしていても、何もしていなくても、時は流れていく。
ならば、せめて、
どんなときでも前を向くことを忘れないでいてほしい。

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このページは、cmemberが2012年3月 9日 08:05に書いたブログ記事です。

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