text by 赤様
「遊ぼう」っていうと
「遊ぼう」っていう。
「馬鹿」っていうと
「馬鹿」っていう。
「もう遊ばない」っていうと
「遊ばない」っていう。
そうして、あとで
さみしくなって、
「ごめんね」っていうと
「ごめんね」っていう。
こだまでしょうか、
いいえ、誰でも。
この詩は、金子みすずという人の詩です。
今となっては、誰でも知っている詩ですね。
今年は本当にいろんなことがありました。
先の震災により、
今まで、当たり前だと思われていたことが、
これほど大切で、必要不可欠なことなんだと
思い知らされた年もないでしょう。
そんなことを考えると、
『本当に必要なこととは何なのか?』
そんなことが問われているとさえ思えてきます。
そんなとき来日したのがブータン国王です。
ブータンでは国民の幸福度を向上させることを、
国の政策としています。
そのなかには、人を思いやり信頼し合うことが
重要な項目として入っているのです。
ならば、日本人はいったい何を求めているのでしょう?
震災で被災した人に対して、
何とかしなければという衝動が湧き、
それが社会的に大きなムーブメントになったことは、
日本人として、とても誇らしく思えました。
(と同時に、僕は募金しかできない自分に歯痒さも感じましたが)
人との繋がりが、あらゆることの土台になっているのだと、
この春、気づいた人も多いと思います。
そう、人間を救えるのは人間しかいないのです。
世の中をどう見るかは、
価値観と感性によるところが大きいと思います。
しかし、豊かさとは物質的なものだけではなく、
精神的なものも含まれるのは確かです。
信頼しあえる人が存在しなければ、
心の安定などあり得ないですし、
心の安定なくして、幸せなどあり得ないからです。
これを機に、
人と人との繋がりや、関わり方への意識が高まれば、
より暮らしやすい社会になるのではないか。
2011年は、僕にとってそんなことを考える1年でした。