ある名店の興亡

なぜか最近このブログで食べ物ネタが多い気がする、
と思うのは自分だけだろうか。
いや、やっぱり寒くなると食べることに興味が移って来るのかも知れない。
自分はやはり夏の暑い時期より冬の方が「食」は楽しいと感じる。
美味しいものが増えるからなんだろうか。

先日テレビを見ていて懐かしい店に再会した。

ある料理バラエティーの中でのことだ。
その夜の番組では「カキフライ」を採り上げていた。
3店ほど紹介された中のある店のご主人。
あれ???
見たことのある顔と、聞いたことのある名前。
店内も見たことのある雰囲気・・・。
それは四谷のカツレツのお店だった。
以前訪れたのはもう随分前になるが、その時は
洋食の「キッチンエリーゼ」と名乗っていたのだ。
仕事でもなんでも、とにかく四谷に来れば必ず訪れた店だった。
ところが現在は「かつれつ四谷たけだ」になっている。
ネットで調べたら、どうやら揚げ物とカレーのお店に変身したようなのだ。

以前の「エリーゼ」時代は社内にも何人かこの店で食べたことのある人もいると思う。

そもそもこの店に最初に訪れたのはもう30年近く前だ。
この店の近所のデザイン事務所で働いていた頃で、
洋食がとても安く食べられることで、よく通った店だった。
おそらく週一・二回は通っていたと思う。
ピラフやらハンバーグやらメニューを変えて。
でも自分がこの店で一番に多く注文したのは「メンチカツ定食」だろう。
サクサク衣のメンチとオリジナルのデミグラスソース、これに
ライスとみそ汁がついた定食だ。
店の一番人気は「ビーフトマト」という牛肉とトマトのソテーの定食だった。

ネットの情報によると残念ながらこのメニューは消えたらしい。
しかしメンチカツ定食は残っているようだ。
いずれにしても焼きの入るメニューが無くなった。
口コミをメインにしたあるグルメサイトで、この変身に戸惑う声も多いようだ。
さらに調べてみると、「ビーフトマト」は「トマトのビーフ」と名前を変え、
オムライス、カレー等を扱う別な店が四谷三丁目にできたらしい。
こちらは「キッチン たか」といい、オーナーシェフはエリーゼの出身者らしい。
うまく住み分けたようだ。
名店が消え、その味を継承する店が新たに出来た、というわけだ。


考えてみれば、30年も前から同じところで同じ種類の料理を出しながら
継続していること自体が奇跡に近い。
入れ替わりの激しい外食業会では新陳代謝が激しい。
ところがこの店は、今回方向性は若干変えつつもフライものを中心に
リニューアルし、いまだに営業している。
これ自体すごいことでないかと思う。

会社のまわりに目をやれば、10年以上続いている店がどれだけあるか、
更にはその理由は何なのか、なんてことを考えると
何かビジネスを考える上でのヒントが隠れているように思うのは考え過ぎか。

年内にはまた訪れたい。
もちろん注文するのは、あのメンチカツ定食に決まっている。

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このページは、cmemberが2011年12月 5日 08:44に書いたブログ記事です。

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