電子書籍と紙の本

電子書籍が話題になってから少し経ち、再生できる機器も
各社で色々と発売されてきて、勢い紙が無くなるか?
などと勘違いしそうになったが、いつも書店に行くたびに
全て電子化にならない、という確信のようなものを感じるようになる。

「電子書籍に向いたコンテンツばかりがこの世に存在している訳ではない。」
やはりここに尽きるのではないだろうか。

書籍と単にいってもその種類や扱う内容は幅が広い。
自分が一番感じるのはその中でもとりわけ装丁に関わるところだ。

紙の質感を感じたり、紙をめくる感触などは電子書籍では再現が不可能だろう。
無地の紙に印刷された書籍を前提にした電子化では
やはり表現として不足を感じてしまう。
本の中には特殊インクを使用する場合や、紙質の特性を利用した印刷もある。
そういったものの表現はどこまで可能なのかということを考えると
限界を感じてしまう。

むしろタブレットを主体とする端末でしか表現できないアイデアも
今後出て来ることも充分ある訳だ。

こう考えてくると電子書籍を読むことは紙の本を読むことの
代償(代替ともいえるか?)行為とは単純に言えないということもわかってくる。
多分それぞれが独自の持ち味を活かした進化をするのではないだろうか。
(もちろんどちらかが「食われてしまう」部分も避けられないだろうけど。)
そして、こんな話もある。
人は記憶をするのに見た画像で記憶するのだそうだ。
そのページの記載された内容・情報だけでなく、
ページのレイアウトや使用されている図版類など、
記憶に繋がっていく要素があるということだ。

これらを言い換えれば、本を楽しむときには五感も必要だ、といえる。
この五感に働きかける部分がどこまで電子書籍で可能なのか??

まだまだ成熟したメディアになるには時間が必要かもしれないが、
どうなっていくのかは非常に興味がある。
今後も目が離せない。

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このページは、cmemberが2011年6月13日 08:52に書いたブログ記事です。

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