text and photo by 赤様
ポンカラ、ポンカラ・・・。
独特な下駄の音を響かせて、花街を舞妓さんが歩きます。
そんな姿を目にした観光客が、たちまち彼女の周りに群がります。
京都に来たからには舞妓さんを見てみたい。
誰しもそんな気持ちでしょう。
でも、その人は本当の舞妓さんではないかもしれません。
僕らと同じ観光客かもしれません。
数時間だけ、舞妓さんの格好をして、
祇園の街を歩いて気分を味わう、という商売です。
そんなことを知ってか知らずか、彼女の周りには、
次から次へと人が集まってきます。
ホンモノかニセモノか、どこをみれば判断がつくのかは、わかりません。
ひょっとして喋らせてみれば、わかるのかもしれません。
舞妓さんはどこの出身でも、京ことばで喋ります。
ホンモノの舞妓さんは年齢的には16~20歳。
で、20歳くらいになると、
舞妓さんを卒業して芸妓さんになります。
着ている着物も髪飾りも大人っぽいものに変わります。
だから大人っぽい舞妓さんは明らかに観光客ってことに・・・(笑)。
ま、それはおいといて。
ホンモノでもそうでなくても、
きれいな出で立ちにその場が華やぎます。
もうひとつ、雰囲気を煽るもの。
それは人力車。
昔は日本全国いろんなところを走っていたのでしょう。
でも、今は京都のような景観を考えたところでないと、
成立しない乗り物になってしまいました。
僕も京都と鎌倉でしかみたことがありません。
ツヤのある漆黒のボディに、
車輪とそのカバーのピッカピカな銀色。
気高さを感じさせ、メカとしてみてもカッコイイ。
古い佇まいの街並みによくマッチします。
でも、舞妓さんがいなくても、人力車がなくても、
祇園や東山の街並みは、それだけで風情あるいい雰囲気です。
そこに、この両者が加わると、
非日常感をいっそう煽り、来てよかったなあと思うことでしょう。
ただ、ニセモノの舞妓さんや人力車ばかり増えてしまうのも考え物です。
やはり、僕らはニセモノを見にいくわけではなく、
昔からつづくホンモノの京都文化に触れにいくのです。
それを忘れなければ、
京都はきっと素敵な街のまま、在りつづけることでしょう。