text by 赤様
先月、ドイツに行ってきました。
ドイツというと、みなさん、どんな印象を持っていますか。
ヒトラー、ナチス、ゲルマン魂、ベルリンの壁・・・
ドイツ人は、いかつい、身体がデカい、顔がこわい、厳格・・・
ドイツ語は、怒っているように聞こえる・・・
などなど。
僕にとっては、あまり魅力がない国でした。
強いてポジティブな要素を挙げると、
環境先進国ということくらいでしょうか。
事前にいろいろ調べているときに、
あるウェブサイトで、こんなコメントがありました。
「ドイツ人のホスピタリティは素晴らしい」と。
ほんとかなぁ、と正直、半信半疑でした。
なぜなら、冒頭のような先入観があったからです。
で、実際に行ってみて、こんなことがありました。
複数ある電車の切符の券売機前で、
「私たちが買い終わったから、こっちで買いなさい」
(ドイツ語で多分そう言っているんだと推測)
と僕に向かって手招きする家族。
地下鉄の路線図を見ている僕に、
「 May I help you ? 」と声を掛けてくれた若者。
混みあった電車の中で、2人掛けのイスに座ってる親子2人が、
目の前に立っていた僕に、わざわざ席を詰めて「どうぞ」と、
スペースをつくってくれたこと。
東京でずっと生活していても、こんなことはほとんどないのに、
たった数日間のドイツ滞在で、これだけ優しくされたというのは、
おそらく、他人への思いやりというか、
そういう価値観がこの国には浸透しているのでしょう。
また、スポーツ(このときは陸上競技)を観ていても、
国籍を問わず好成績を出した選手に対しては、惜しみない拍手を贈り、
選手のプレーを後押しするための手拍子もすごく協力的。
それがたとえドイツの選手と争っていても、ホントに大きな拍手です。
それ以外にも、
買い物をした時の店員、宿泊したホテルのフロントの人、
競技場の係員、みんな対応がとてもあたたかい。
あの、いかつい顔と怒ったように聞こえる言葉とは裏腹に、
形式ばったものではなく、
個と個の交流を楽しもうとする姿勢がとても心地良く感じられました。
とかく、初めて行く国では、
わからないことを誰かに尋ねたり、
何かをお願いしなければならない場面が多いもの。
住んでる国も、言語も習慣も違い、
自分がそこに行かなければ、
おそらく一生合うことがなかったであろう人から、
親切にされたり、温かく迎え入れられると、
縁というか運命というか、
なにか不思議なものを感じずにはいられないのは、僕だけでしょうか。
そこからわずかでも会話ができれば、
ひと味違った旅の思い出になるハズです。
どう見栄を張ろうと、僕の英語は初歩的なもので、
他の言語もほとんどわかりません。
今回の旅も、ドイツ語で1、2、3、4すら、
どう言うのかが、最後までわからずじまいでした。
でも、会話集やノートにまとめたフレーズを読んだりして、
カタコトでもいいのでトライしてみて、
「お、通じた!」って瞬間が、日常にはない嬉しさがあります。
名所旧跡を巡ったりグルメを堪能する。
もちろんそれも旅の楽しみなのですが、
海外旅行の醍醐味は、なんと言っても、
その国の人と(カタコトでもいいので)会話をしたり、
文化や習慣に触れたりすることだと思います。
知らない土地の匂いや空気を肌で感じて、
その場所にいる人と同じ流儀にのっとって、同じモノを共感する。
言語のワクを超えたそういう体験は、
他国と海で隔てられたココにいたのではわからないのです。
世界のいろいろな文化に触れることで、
日常にはない、いろんな価値観を体感すること。
せっかくこの地球に生まれたのだから、
「井の中の蛙 大海を知らず」じゃあ、もったいない!
金を貯めて海外に行くべし!
今回の旅を終えて、そういう思いがより一層強くなりました。