text by 赤様
「Olympic Champion and Gold Medalist コースケ キタジマー!」
割れんばかりの拍手を受け、腕を高々と上げて表彰台に上る。
北京オリンピックの表彰式。
北島康介が金メダルを胸に下げ、日の丸が掲げられ、君が代が流れる。
オリンピックの表彰式っていいね。
歓声と興奮につつまれた熱い戦いのあとの、選手を称える穏やかな空気。
なんとも言えない。
テレビ局は録画放送のときでも、ちゃんとそこまでオンエアして欲しいものだ。
柔道女子63キロ級で金メダルを取った谷本歩美。
4年前のアテネ五輪のときのコーチだった古賀稔彦が、
「成功する人間とそうじゃない人間の違いは、
体力の差でも、知識の差でもない。意志の差だ」
という言葉を谷本に言い続けていた。
また、陸上男子400mハードルの為末大が、
絶不調から五輪選考会を突破したときに、
「これまで『逃げてこなかった自分の過去』が自分の支えになった」
と語った。
オリンピックに出場する選手でも、
ずっと日本でトップの位置に居続けているのではなく、
いくつもの困難を潜り抜けてきている場合がほとんどだ。
どの選手にも同じ長さの4年間があり、
そこには幾多の紆余曲折があるが、
自分と真正面から向き合い、それを乗り越えてきたからこそ、
最高の瞬間が彼らを待っている。
オリンピックの水泳競技の中継で、
いつも解説をしているのが高橋繁浩。
この北京でも解説をしている。
バルセロナで岩崎恭子が金メダルを取ったときに
大絶叫していた解説者と言えば、わかる人がいるだろうか。
今回の北島の100mのレースでは、
「うまいうまい! うまいレース運びでしたよ! 康介おめでとう!」
とやっぱり大絶叫。
そんな彼も、ロサンゼルスオリンピックに選手として出場している。
彼らの日々の積み重ねを、
心底理解しているからこその熱さであり大絶叫なのだ。
オリンピックもまもなく水泳が終わり前半戦終了。
そしてこれからは、何といっても野球の星野ジャパン。
それから、NBA選手が金メダルを渇望するバスケット。
ライバル、中国、スペインに日本人コーチがいるシンクロ。
世界ランキング1位の日本人がいるトランポリンにも注目。
そしてそして、待ちに待った陸上競技が始まる。
後半戦も、彼らの最高の瞬間を見逃してはならない。