text by 赤様
京都の祇園祭は17日の山鉾巡行でクライマックスを迎えました。
高さ数十メートルもある山鉾が、京都中心部の通りを巡ります。
祇園祭の象徴的なシーンです。
僕は、五山の送り火や、雪の金閣寺や、
円山公園のみごとな桜は見たことがあるのですが、
この祇園祭には、まだ行ったことがありません。
なので、一度は行ってみたいと思っています。
以前、6月の終わりに京都に立ち寄ったときのこと。
烏丸四条(京都の中心部)あたりを歩いていると、
どこからかお囃子の音色が聞こえてきました。
もうすぐ祇園祭だということがわかってなかったので、
街頭のスピーカーからそんな音を流しているんだろう、
と思っていました。
しかし、しばらく歩くと、
交通量が多いのにもかかわらず、その音はどんどん大きくなっていき、
ある交差点に差し掛かったとき、ある方向からあきらかに生の音が・・・
この時点でようやく『祇園祭の練習だ』ということがわかりました。
細い小路を上ル(京都では、交差点から路地を北に進むことを
「上ル」という)と、自治会の集会所から、
「祇園囃子」といわれる和楽器独特の音色がきれいに響いてきました。
普通の祭りのお囃子じゃ使われない鈴の音も、とても心地よいです。
残念ながら、その中の様子は見えませんでしたが、
建物の周りにはその音色に耳を傾ける人が何人もいて、
熱心に聞き入っていました。
以前、その演奏に関わったのでしょうか。
それとも家族や知人がその練習に参加しているのでしょうか。
参加者だけではなく、街全体で受け継いでいる。
そんな気概が感じられました。
寺社仏閣だけではなく、
そういう文化を護っていくところも京都の魅力のひとつです。
僕もそこで足を止め、しばらく聞き入っていたのは、
言うまでもありません。