text by 赤様
ヤクルトの古田敦也が現役引退と監督の辞意を表明した。
何十年ぶりに登場した選手兼任監督は注目を集めたが、
チームの成績と選手育成の両方を成り立たせるのは、
どんなベテラン監督でも至難の技だ。
ゆえに、選手としての出場機会は次第に減り、
その言葉がTシャツのデザインにまでなった「代打、オレ」は、
あまり見られなくなった。
チームの成績も芳しくなかった。
古田といえば忘れられないのが、2年前のシーズン終盤のこと。
親会社の都合で近鉄が消滅しそうになったときに、
選手会長としてストライキを決行した。
その結果、新球団が誕生したことは大きな功績だ。
企業の論理ではなく、野球という文化のために動いたその姿勢が、
野球ファンの胸に響き、チームの垣根を越えた支持を得た。
先日、広島球場での最後の試合、
カープファンからも「古田コール」が起こったほどだ。
いずれ、またどこかのチームに関わるのかもしれないが、
僕が願うのは、
そんな視点を利用して、ぜひともコミッショナーをやってほしい。
彼なら野球界をより良い方向へ進めていけると思うからだ。
そんな思い入れがあるのは、
何を隠そう、古田は僕の尊敬する人物のひとりだからだ。
その理由は、ある物事を克服するときに、
あくなき探究心で試行錯誤を惜しまないから。
でもそのとき、ヘンな執着心や悲壮感は絶対に見せず、
あくまで、辛いことも明るくチャレンジする姿勢を貫いている。
また、上手くなるためには、周囲の目も気にせず、
若手や新人のいいところもどんどん盗む。
しかも、いつも陽気なふるまいで周囲を笑わせる。
それが競争の激しいプロの世界で出来ているから素晴らしい。
同じ野球場に何年もいたのだから、
サインを貰っておけばよかったと、今、後悔している。
*****巨神兵さんと交替し、金曜日の担当になりました。*****
******* 今後とも、よろしくお願いします! *******