先日ある映画のDVDを見ていて、気づいたことがあった。
その映画は「バリ島珍道中」だ。
ビング・クロスビー、ボブ・ホープ、ドロシー・ラムーアのトリオが出演する。南海の孤島を舞台に、3人組が島の宝物を巡って大活躍する。ハンフリー・ボガート、ディーン・マーティン、ジェリー・ルイスなど豪華なゲストも出演している。
バリ島好きの私は当然以前より気になっていた映画で、それでレンタルして見たわけだが、その描写といったらひどいものだった。何がひどいって、バリ島のはずが、出てくる踊り手が民族衣装(らしきもの)を着ているのだが、その衣装はどう見てもタイのそれであった。
また、島の王女が出てくるが、バリ島ではあくまで法律上のという意味ではなく、一般的には女性が権力の座に着くことはない。ましてや1950年代なら尚更のことだ。
以前にも体験したことだけれど、普通の日本人でも、東南アジアに関心の無い人の中では、そのあたりの認知度はかなり低いようである。ある人は、私がバリ島の民俗芸能や舞踊が好きだと話したところ、「あ、あのタイの踊りね」と言った反応が帰ってきたこともある。
つまり、東南アジア一帯を漠然としたイメージだけで捉えているようなのだ。南の島の異国情緒というのでもよい。
先ほど紹介した映画の中にもご他聞にもれず、このような間違った見解によって、衣装等が間違ったもののまま描かれている。
ステレオタイプという言葉がある。
これはもともとは印刷においての専門用語で、ステロタイプともいうそうだ。そこから転じて、固定観念や偏見的見解などという意味に捉える向きもある。なかなか難しいことではあるが、正しい認識をするためには正しい可能性の高い情報をきちんと集めなければならないだろう。
これはデザインをしていく上でも、とても重要だと思う。広告でもカタログでもウェッブでも同じだ。固定観念に惑わされないで、正しい選択をして行きながらの情報伝達で無ければならないと思うのだ。