Jリーグが開幕した。国立競技場は3月上旬とは思えない暖かな日差しで、僕は上着を脱いで観戦した。その日差しに輝く青々とした芝生がとても美しい。
Jリーグ2部、東京ヴェルディと徳島ヴォルティスの試合。結果は4対1でヴェルディが貫禄をみせた。だが、僕が気になったのはスタンドのサポーターだった。
まだプロのチームになって2年に満たない徳島。スタンドは、時おり阿波踊りのリズムで盛り上がった。そこに僕は地域の温度を感じながら、ふと思ったことがあった。
自分の町に、あるいは出身地にサッカーチームがあるという事が、不意に嬉しく思える瞬間がある。しかもそのチームは産声を上げて間もないチーム。創世記から見ることも、チームの成長を見届けていくこともできる。
これって「サカつく(プロサッカーチームを作ろうというゲーム)」のコンセプトそのものだ! それをバーチャルじゃなく、目の前で実際に体験してしまっている。以前横浜FCが出来たときに、横浜出身の僕はそんな感情を持ったのだ。
観客が少ないJ2では、観客の声援もヤジも選手の耳に届く距離。全力で走ったあとの選手の息遣いや、交錯した選手同士のスパイクと脛(すね)あてがぶつかる音までも聞こえてしまう。プレーは決して上手いとは言えない。けれど、すごくひたむきにボールを追う。僕は特に熱狂的なサポーターではないが、そんなことが理由で他人ごととは思えない存在になってしまう。
そこまで見えたり聞こえたりしてしまうのは、スタジアムの小ささと観客の少なさがあるからなのだろう。大観衆の大きなスタジアムだったりTVでの観戦では、決して伝わってこない。
多分、世界中にある2部リーグ(またはそれ以下のリーグ)のサポーターは、みんなそんな感情を持っているのでは? と僕は勝手に想像してしまう。ポカポカ陽気とガラガラのスタンドが、そんな想像をより助長させたようであった。
そんな人間くさいJ2、どうですか?