小学生の頃の話。
じいちゃんのことが本当に好きだった僕のばあちゃん。
じいちゃんはもう仏壇の中にいて、毎日必ず手を合わすばあちゃん。
久しぶりに、ばあちゃん家に遊びに行くと「まずはおじいさんに挨拶しておいで」っていうのが口癖で。
その日もばあちゃんは目をつむって、念仏かなにかをブツブツ唱えながら、じいちゃんに手を合わせていました。
その後ろで遊ぶ孫たち。
「アレ、なんかコゲ臭くない?」と言ういとこの姉ちゃん。
「ばーちゃん! 頭燃えとるって!!」
「ローソクの火が! ローソクの火が!!」
即座、ばあちゃんの頭を座布団でボコボコに叩く親たち。
コーラのペットボトルをビールがけのごとくばあちゃんにかけるいとこの姉ちゃん。狂ったように鳴く愛猫。
奇声を上げて部屋中を走り回る頭部の熱いパニック老人。を、追いかけるみんな。
その様子を遺影の中のじいちゃんがじっと見ていた。
かたいティッシュ