第1回・第2回
大人になった今だからこそ、怒らなかったことに察しがつく。
そもそも、叱るなら朝の時点で叱るハズだ。
しかし、小さかった私は黙ることしかできなかった。
「こんな楽しくて、みんなを巻き込めるイタズラを考えるんじゃのぉ。タカシは天才じゃのぉ」
ほめられる、とは意外な展開だったので思わず父の顔を見た。
「父さんもタカシぐらいの頃はいろんなイタズラをしておじいちゃんに叱られたけど、一回だけほめられたことがあるんよ」
それは祖父の趣味だった盆栽にカラフルなペンキで派手に色を付ける、というイタズラをしたとき、だそうだ。
祖父はその盆栽を発見したときに、一瞬だまり、口をつぐんだ。
が、すぐに父を呼び、その盆栽と父と祖母を写真におさめたそうだ。
つづく