text by 赤様
4月前半は肌寒かったですね。
でも、週間予報では、初夏のような陽気が続くのだそうです。
まだ、ゴールデンウィークを迎えようという時期なのに。
気温というのは、波のように上下しながらも、
ゆっくりと上がっていくもので、
それによって僕ら人間の感覚も、
徐々に徐々にその季節の気温に慣れていくものです。
でも「慣れ」って、何なのでしょう。
「ジョホールバルの歓喜」と呼ばれる1997年のサッカーW杯予選で、
当時、日本代表監督だった岡田武史は勝因を聞かれ、
「コンディショニングです」と言いました。
晩秋だった日本からマレーシア入りした日本代表の選手は、
高温多湿の対策として1週間前に現地に入りました。
人間は口とともに皮膚でも呼吸をしていますが、
暑いときと寒いときとでは、
皮膚の孔(あな)の大きさが変化し、
身体の熱の発散の度合いを調節しています。
冬は体温を逃がさないためにこの孔が小さく、
夏は逆に熱を逃がすために拡がります。
しかし、違う気候のところに順応するまでには、
ある程度の時間がかかるため、
日本代表は1週間も前から現地入りしたのです。
だいたい2~3日前というのがサッカーの場合は多いのですが。
その甲斐あって、その試合でのコンディショニングの差は歴然。
湿度が低い国である対戦相手のイラクは、
2日前に現地入りしたことも影響し、後半は全く走れなくなって、
ご存知のとおりの結果です。
僕らも、夏でもない時期に急に暑くなると、
身体がだるくなったりするのは、
そうしたことが影響しているようです。
慣れというのは、良い効果も生む一方、
衰えると順応しにくくなるという一面もあります。
でも、これは人間の素晴らしい能力でもあるので、
そこをちゃんと把握して上手に対応したいですね。