text by 赤様
本屋にはよく行くんです。
しかも、僕の場合、ほぼ毎週。
でも他業種に比べて、
本屋って、それぞれに個性や特徴があまりないように思いませんか。
本屋は、いわばセレクトショップなので、
他店との差別化をしようと思えばできると思うのですが、
そういう店はあまり見かけません。
セレクトショップの代表格といえば洋服屋ですが、
服の場合は、店が違えば置いてあるものがたいてい違います。
僕らも、他人が持っていないものを選びますし、
むしろ、かぶると気まずいですよね。
でも本の場合は、
ファッション雑誌とか、ビジネス書とか、小説とか、
売れ筋はだいたい決まっていたりします。
また、取次などの大人の事情もあるようで、
そんなところも差別化しにくい一因なのでしょう。
しかし、最近になって、従来の分野ごとに分けずに、
並べ方を工夫して集客を増やしている本屋がある、
なんてのをときどき耳にします。
たとえば、どう並べるのかというと、
ある小説の隣に、その小説に出てきた場所の旅行ガイドを置くとか、
同じ監督によって撮られた映画の原作の小説がまとめてある、
といった具合に、
並び合った本同士が関連しあっているのが面白いところです。
その本棚の並びを見て「なるほど」と思えることもあったりします。
人は本屋に行くと、好きな分野のコーナーしか行きません。
だから従来の並びだと目にしない本があるハズなのです。
でも、テレビを見ていて、全く興味の無い分野に面白さを感じるときって、
自分の趣味と何か関連性があるってことが多いワケで、
そこに注目したのだと僕は思っています。
そんな代表格的なお店で、
以前から行きたいと思っていたところに、ついに行ってきました。
けいぶん社という、京都の一乗寺というところにある本屋です。
イギリスのガーディアンという有名な新聞社が、
「The world's 10 best bookshops」と題して、
2010年に世界で最も素晴らしい本屋10件を選んだなかに、
この本屋が日本から唯一選ばれています。
(参考HP→http://media.tabipedia.net/1775/)
学校の教室2~3つ分ほどの小さなお店ですが、
僕が外観の写真を撮ってるそばから、
他の客も写真を撮っていて、
全国から噂を嗅ぎつけた人々が次々と来店するそうです。
僕はフィクションは読まないので、
正直まとめ方がわからない棚もあったのですが、
他の本屋とは違う並びはとても新鮮で、
セレクトの仕方も個性的だったのもあり、
つい長居してしまいました。
世の中には本が出版されていない分野というものは無く、
逆に言えば、
本から世の中を察することができると言っても過言ではないと思います。
こうした個性的な本屋がどんどん増えて、
それがきっかけで、本を読む人がもっと増えればいいなと、
僕は思います。