iPadの使われ方

text by 赤様

「全日空が客室乗務員全員にiPadを配布」
先日、そんなニュースが流れた。

以前、僕がベルリンに行ったときのこと。
客室乗務員に「ウォーター」と言ったら、
オレンジジュースが出てきたことがあった。
僕の英語は発音が悪かったのだろうか。

日本を発着する便には、日本語が話せる乗務員が必ずいるが、
海外で乗り継ぎした便には日本語が話せる乗務員はおろか、
全ての乗客を合わせても日本人は自分だけ、
いや日本語が理解できるのも自分だけ、という状態になる。

英語も他の言語も『からっきし』な僕にとっては、
これはある意味かなり面白い状況なのだが、
いざとなったら・・・と考えると些か不安でもある。

だからそんな乗客のためにも、
iPadが翻訳するツールとなって
コミュニケーションの手助けになればなあと思うのだ。

小さなツールで様々な言語を使う人と
コミュニケーションがとれたらさぞ便利だろう。
それだけではなく会話が困難な身障者の方々にとっても
これは大きな力になるはずだ。
ぜひとも全世界の航空会社に導入されて、
こうした人たちのために活用してほしいと思う。

でも振り返ると、こんなに効率が求められている世の中なのに、
なぜ航空会社はあのような飲み物の配り方をするのだろうか。
たとえば小さいパックの飲み物を入り口に置いて、
搭乗時に乗客にとらせるとか、
もっと効率的なやり方があるはずだが、なぜしないのだろう。

かつてある航空会社が、飛行機は空のホテル、
というニュアンスのコピーを広告で謳った。
僕の推測だが、人から人へという人をもてなすサービスを
主眼においているからなのだろう。

全日空のiPad導入は、マニュアルの電子化が目的だそうだが、
事務的に使われるよりも、人と人の間で使われた方が、
昨日亡くなったスティーブ・ジョブズ氏も喜ぶと思うし、
人から人へのもてなしという点では、
そういう使い方をした方が有益に思えるのだ。
ぜひご一考を期待したい。

さて、ベルリンからの帰りにパリまで乗った飛行機で、
僕の隣の席になった少年(高校生くらいにみえた)は、
サンパウロまでの航空券を握り締めていた。

いかにもサッカーが得意そうな南米の少年という感じの彼は、
おそらくポルトガル語と、
ドイツから乗ったから、もしかしたらドイツ語を話すのかもしれない。
そう考えると、彼と話しをする機会があったとしても、
会話を成立させるのは難しかっただろう。
そんなとき、言葉の壁を超える道具があったなら、
旅の思い出深い1ページになったはずだ。

おそらく彼とは、もう2度と会うことはないだろうが、
そんな縁が大きな拡がりを期待させる世の中は、
もうすぐそこまで来ているのかもしれない。

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このページは、cmemberが2011年10月 7日 08:57に書いたブログ記事です。

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