放射能と電気料金

text by 赤様

一昨年、広島に行ったときに原爆ドームを見た。
初めて見たのは高校1年の夏なので、25年以上も前のことになる。
この建物を見ると、いつもその破壊力のすごさを感じるし、
その付近に、かつて(もしかしたら今も?)漂っていた放射能のことを、
否が応にも考えてしまう。
人類が放射能の怖さを知って、明日で66年になる。

震災後は「脱原発」が大きな潮流となっているように感じる。
僕自身も、こんなものなど無くしてしまえと思っている。
しかし、原発の代わりに、
エコエネルギー(風力、太陽光など)による発電で賄おうとすると、
電気料金は上がるだろうと言われている。
(どれくらい上がるかは諸説あるが・・・)

電気会社の起こしたことは、電気会社の内部事情でしょ、
とも言いたいが、様々な後処理に税金を投入しそうな現状では、
その負担がこちらにくる可能性は、拭いきれない。

そこで、みなさんに質問。
1 危険性があっても電気料金が上がるくらいなら原発があってもいい。
2 電気料金が上がってもいいので原発を撤廃してほしい。
あなたなら、どちらを選びますか?

以前、ドイツでこんなことがあったそうです。
フライブルグという市で、
それまで原発によって賄われていた電力を、
発電設備の開発により、
エコエネルギーでの供給も可能になったことで、
市は住民にひとつの問いかけを行います。
原発とエコ発電と、どちらの電気を希望しますか?と。

これには、補足する条件があります。
たとえエコ発電を多くの人が選んでも、
それだけで全ての電力を賄えるワケではなく、原発は残ること。
また、それでもエコ発電を選んだ人は、現在より2倍近い電力料金になること。
さらに、原発の電気を選んだ場合は、従来通りの電気料金でよいこと。

さて、これならあなたは、どちらを選びますか?

フライブルグ市のこの問いかけに、
8000世帯が高い電気料金を払ってでもエコ発電の電気を希望したそうです。
そしてその世帯は、現に高い電気料金を払っているのだそうです。
どちらを選んでも、流れてくる電気には、なんら変わりはないのに。

この街はこのとき人口20万人。
一世帯あたり3人と考えて24000人。4人と考えても32000人。
およそ12~18%の市民が、供給される電気が同じものなのに、
その発電方法に対してのみに高い料金を支払っている現実。
あなたはどう思いますか?

現在、ドイツは言わずと知れた環境先進国。
それは、こんな意識が根付いているからなのかもしれません。
僕らが原発を撤廃しようとするなら、
もしかしたら、僕らの意識を変えないといけないのかもしれません。

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このページは、cmemberが2011年8月 5日 08:48に書いたブログ記事です。

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