大入袋

text by 赤様

いろいろゴタゴタがあったが、プロ野球が開幕した。
あんなとき、野球界はいつもスマートではない。
サッカー界とは大違いだ。
でも、こんなときだから、
済んだことは水に流して前を向こう。

震災でスポーツ選手が支援活動をする映像が
メディアで流れたのを数多く見た。
プロ野球選手も同様に、各地で支援の輪に加わった。

そんなアナウンス効果か、
野球を観に行きたいという気持ちが、
今年はいつになく強い。
これは僕にとっては珍しいことだ。

僕が野球場に勤めていたころ、
そこをホームグラウンドとする某チームは、
野村監督を迎えて強豪チームへと生まれ変わり、
それにつれて集客も増えていった。

連日、多くのファンでスタンドが埋め尽くされ、
毎試合のように満員にふくれあがった。

そのときもらったのが、
下の大入袋だ。





袋の中には何が入っているかというと、
ご存知の方も多いと思うが、100円玉が１枚だけ。
（バブル全盛時には、何かのイベントで、
500円玉が入っていたと聞いたこともあるが･･･）

それっぽっちかぁ、と思われるかもしれないが、
これが運営関係者、マスコミ、球団関係者に配られるのだから、
相当な額になる。

とはいえ、皆様のおかげです的な意味合いのものなので、
興業の成立に貢献している身としては、
中身がいくらであれ、
これは一翼を担っている証なので嬉しいものだ。

だから、勤めていた記念として、
中身はそのままに、今でも大事にとってある。

昨今、プロ野球人気に陰りが見られ、
さらに電力不足でナイターができないなど、
ネガティブな事柄が追い打ちをかける。

スポーツをやってる場合じゃない。
そういう考え方も確かにあるかもしれない。

でも、人間は他人のがんばっている姿をみてエネルギーがわいてきたり、
また、他人に応援されてがんばれる、そういう生き物だ。

スポーツには、そうした要素が凝縮されていて、
だからスポーツを観て元気になれるのだと僕は思う。

こういうときだからこそ、
多くの人が野球場につめかけ、
スタジアムが満員になってほしい。