text and photo by 赤様
スポーツ雑誌「Number」が今週の発売で700号を迎えます。
1980年に創刊、隔週で発行され28年目での700号到達です。僕が購読しはじめたのは、1984年のサラエボ冬季五輪のときですから、もう24年も前のこと。それ以来、僕の愛読誌です。気がつけば部屋に溢れてしまう量になっていました。その数、ざっと500冊! (我ながらバカですね・・・) 捨てようにも捨てられず、押入れのなかを占拠しております。
さて、そんなNumberのどんなところが僕を惹きつけたのでしょうか。
僕が単にスポーツ好きだから・・・。
それはもちろんです。日本で初めてのスポーツ総合誌として誕生したこの雑誌を、僕が放っておくワケがありません。
でもそれだけじゃなく、僕が推したいのは、この雑誌はなんと言っても写真が素晴らしい!Sports Graphic Numberという正式な誌名のとおり、写真へのこだわりはページをめくればビシビシ伝わってきます。もう、それはそれは素晴らしいです。
凄いです! エグいです!!
セクシーーーーです!!!
スポーツ写真を、報道から芸術の域へと引き上げたと言っても過言ではありません。と同時に、スポーツ写真家という職業を世に生み出しました。「この雑誌に載りたい」というスポーツ選手も多くいるほど、選手からみても憧れの存在なのです。
また、掲載写真のすべてに写真家の氏名を入れていることも特筆すべきことです。文章に対しての記名は、どの雑誌でも見られることですが、これは未だになされていない雑誌も多いのです。そのあたりにも、スポーツの発展、貢献は、選手だけではなく、ライターや写真家もその一翼を担っているのだという気概が感じ取れます。
Numberといえば、創刊号に掲載され、スポーツの見方に一石を投じた「江夏の21球」を忘れてはいけません。1979年のプロ野球日本シリーズ。広島と近鉄で争われた最終戦。広島のクローザーとして登板した江夏は、9回裏自ら作ったピンチを劇的な形でしのぎました。その投球を(故)山際淳司が独自の視点で切り取ったこのドキュメントは、スポーツノンフィクションの面白さを広く認知させました。野村克也(現楽天監督)いわく「この21球には野球の醍醐味が凝縮されている」と言わしめたほど。後にNHK特集でも取り上げられました。
スポーツへの熱き想いや、新しい視点を提案していくオピニオンリーダーとしての精神も併せ持ち、いちスポーツ雑誌でありながら、スポーツライターをどんどん世に送り出していこうと、スポーツライター新人賞を設けているのもNumberならではの進取の精神です。
ちょっと褒めすぎですね。
しかし、創刊以来10年間は赤字続きで、文藝春秋でなければ廃刊したと言われています。今は文藝春秋のなかでもトップクラスの稼ぎ頭になり、スポーツ総合誌という地位や、「Number」というブランドを確立し、他にも競合誌が出版されるほどにまでなりました。が、一方で、昨今の出版不況のあおりか、企画内容がタレント性のある選手の記事に偏りがちで、昔のような開拓的な姿勢が影を潜めているところに、僕のような昔からの読者にとっては少々不満があるところではあります。
ですが、読者をひきつけるような今日までの展開のように、今後もさまざまな視点を世に送り出してくれることは間違いないでしょう。
これけらも期待せずにはいられません。