text by 赤様
会場の日産スタジアム
ロナウジーニョ来日で注目を集めた、サッカーのクラブ世界一を決める大会。
数年前、アルゼンチンのボカ・ジュニアーズというチームがこの大会に出場した。
そのときTVではこんな人を紹介していた。
自ら通勤に使っている車を売ってまでして、
地球の裏側の日本まで応援に来たサポーターがいる、と。
応援するチームが世界一になるという人生に幾度と無いチャンス。
そんな感情が彼らをそうさせるのだろう。
彼らにとって自分の指示するサッカーチームは自分の人生そのものなのだ。
ソシオの応援風景
今年の大会に欧州チャンピオンとして出場したのはFCバルセロナ(通称バルサ)。
その会員(ソシオと呼ぶ)の僕が、観に行かない理由などどこにも無い。
国際サッカー連盟からバルサに割り当てられた枠に申込み、
ソシオの仲間たちと声を張り上げた。
俺はスペインから来たぜ!
みんな座って観戦してるのに、スタンドの一画の僕ら数百人だけは90分間立ったままだ。
遥か1万キロの彼方からやってきたスペイン人は、本場のやり方で絶叫する。
彼らのパワフルさは半端じゃない。
僕らもそれに続いて叫ぶ叫ぶ。
日本人スペイン人入り混じっての即席合同応援。
これが本場の情熱だ!
途中からは近くにいる他の日本人も応援に巻き込もうと
「頑張って!頑張って!」と声を荒げる。
向こうでは「フォルツァ!(=頑張れ)」と声をかけるので、それを訳したわけだけど、
「それじゃ選手には伝わらないぞ」と突っ込みを入れられていた。
対戦相手のサポーターが、どういうワケか僕らの近くに座っていた。
「バルサ!バルサ!・・・」と僕らが応援すると、
「バルサ、ダーメー」と敵対心を露にした。
けれど、慣れない日本語がみょーにおかしい。
その対戦相手は南米チャンピオンのインテル・ナシオナル。
ブラジルのポートアレグレという街にあるチームだ。
その街は、なんとロナウジーニョの生まれ育った地でもある。
そこに今も住むロナウジーニョの叔母は、
なんとなんと生粋のインテル・ナシオナルのファン。
彼女は、
「ロナウジーニョはかわいいけど、インテル・ナシオナルを応援するわヨ」
とTVのインタビューに答えていた。
試合の前の晩、バルサの練習が僕のウチの裏にある等々力競技場で行われた。
僕はこの夏に15時間もかけてスペインまで彼らを観に行った。
なのに、その日は徒歩5分のところで練習している。
そんなことを考えるとすごく不思議な気分になった。